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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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第4章

 
 
 

「うーん……やっぱり細かった。」

隠し通路の中をゆったりと歩きながら、ジェームズは手を見やり、
むうっと顔をしかめる。
先ほど大広間を出る時に狙ってぶつかったハリーの体は、
年齢のわりにこれでもかというくらい細かったのだ。

(僕だってずっとハリーの成長を見守ってきたんだ、どうやって
 暮らしてきたか分かってるはずだけど。……やっぱりいくらリリーの
 妹だとはいえ、息子をあんな風に育てられてはね……)

父親としての怒りと、申し訳なさが込み上げてくる。
内心ぶつぶつと呟きながら、ジェームズが隠し通路の扉を開けて
ひょいっと外に出る。
すると、まさに目の前を通過していた人物に、今度は本当に
ぶつかりそうになってしまった。

「……おっと、大丈夫かい?」

今度は、ジェームズから声をかける前に声をかけられた。
ジェームズが見上げてみると、自分を支える教師。

「すまないね、ちょっと余所見をしていたんだ。……でも、
 まさかそんな所から出てくると思っていなかった」
「――僕の方こそすみません。でも、こういう所を知ってしまえば、
 使わない方がつまらないじゃないですか?」

一瞬だけ息をつめたあと、にっこりと笑いながらさらっと言う
ジェームズに目を瞬かせて、ぽかんとする教師。
すると唐突に、くすくすとおかしそうに笑い始めた。

「……ああ、確かにそうだろうね」
「でしょう?前から先生とは話が合いそうだと思ってました」

ジェームズは未だに笑いつづける教師に、話しかけた。

「偶然ついでに、授業のことでちょっと質問があるのでお時間を
 頂いてもいいですか?ルーピン先生?」
「もちろん。私の部屋においで、紅茶でも飲みながら聞こうか」



どぽんどぽんどぽんどぽんどぽんどぽんどぽん

「ルーピン先生、一体いくつ入れる気ですか?」
「え?とりあえず10個かな?」
「そこで止めておいた方がいいですよ……」
「そうかい?」

テーブルの上にあるリーマスの紅茶は、すでに溶けきらない
角砂糖で埋まる勢いだった。
ジェームズはそれをためらいなく飲む様子に、げんなりする。

(激甘党なのも変わってないんだね……)

というか、絶対にあれは角砂糖の味しかしないだろう。
それでもまだ良い方かもしれない、とジェームズは思った。
学生時代の時は、確か最高で16個だった気がする。
もっと入れようとして、ジェームズとシリウスが必死で止めたのだ。

「それで授業の質問のことだけど……何かな?」
「あ、はい。えっとですね」

『ルーピン!話がある!』

ジェームズの言葉を遮るようにして、いきなり暖炉が燃え上がり、
部屋の中へと怒鳴り声が割り込んできた。
ぴくっ、とジェームズの肩が揺れる。

これは……これは――。

「ルーピン先生!面白そうなので一緒に行っていいですか?」
「おいで☆」

リーマスは笑顔で言い切る。
こういう所も健在だったリーマス・ルーピン。

ジェームズはリーマスの後に続いて暖炉の中に飛び込んだ。
ぐらり、と視界が揺れたあとに目を開けると、学生の時に悪戯を
しまくった薄暗い研究室の中に立っていた。
灰を払っているとセブルスにはじろりと睨まれ、ハリーは
ジェームズも一緒に来たことに驚いている。
とはいえ、セブルスの睥睨に関してはジェームズはことさら
慣れているので、まったく怖くなどなかったのだが。

ふと、セブルスが指差す羊皮紙を見て目を丸くした。



【私、ミスター・ムーニーからスネイプ教授にご挨拶申し上げる。
 愛情の裏返しでも、君みたいなお節介焼きさんは誤解されて
 しまうかもね】

【私、ミスター・ワームテールが申し上げる。シャンプーとリンスは
 モイ●トかハー●゛ルかアジ●ンスがオススメです】

【私、ミスター・パッドフットも同意し、さらに申し上げる。
 イメージチェンジしないと、もれなくピンクのキノコが頭に
 生えてきそうだぞ】

【私、ミスター・プロングスから最後に申し上げる。
 意地っ張りはやめて、ちゃんと素直になった方がいいよ☆】



思わず、ジェームズは大爆笑しそうになった。

“忍びの地図” を作った時にかけた防衛魔法の発動である。
まさか、セブルスのものを見れるとは思わなかった。

――だが、本当はこんなことは書いていない。

きっとこれもゆがみの一部であろう。
あとで丁寧に直しておこう、とジェームズは密かに頷く。

あまりのことに固まるハリーと、今にもキレそうなセブルスと、
やはりどこか面白そうな目をしているリーマス。
余計にジェームズは痙攣する腹筋を支えたくなってくる。
もしここにシリウスがいたとすれば、彼は絶対堪えたりしないはず。

グッジョブ、セブルス。
本当にありがとう。
久しぶりに君のそんな顔が見れたよ

(牽制するよりも、一番の効果があったのかもしれないな?)





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