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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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―その力―




『人間ごときがほざいてくれる!』
「ゼロス、後ろにいてね」

1本の剣の姿から徐々に異形の姿へと変わる……いや……
“本来の姿に戻った” と言う方が正しいだろう。

魔族は地面を滑るようにして、一気に間を詰めてくる!
しかし、ルヴィリオはひらりとその突進を軽く横へと交した。


ゅんっ!


その加速を維持したまま、魔族はすれ違い様に素早く腕を一閃させて、
がら空きのルヴィリオの胴を狙う。
だが、それも難なくするりと交わしていくルヴィリオ
その顔には、焦りも恐れの感情も現れていない。
先ほどから一寸も変わらない、小さい笑みを浮かべたままの表情。

『……貴様ぁ……!!』

余裕にも見下しにも見える表情。
それが癇に触れたのか、魔族は怒気を増大させた。


キュゴゥッ!!


両手を薙ぎ払って一気に何発かの衝撃波を放つ。
その攻撃にルヴィリオはすっと目を細める。
そして、すっと杖を構えた。


ゆら


―― …………ん?

一瞬、ルヴィリオの姿が虚空に溶けるような錯覚があった。
後ろで見ていたゼロスは訝しげに眉を寄せる。
だがそれは一瞬のことで、ルヴィリオは衝撃波を次々と交わして行く。

攻撃の軌道が全て読めているかのように、紙一重。
まるで手の平を擦り抜けていく、風に舞った木の葉のようだ。

ルヴィリオはするすると襲って来る衝撃波を全て交したあとで、
杖の先を強く床に打ち付けた。


カーンッ!


「氷結の鋭利」


ゴォオオオオオオオッ!!


幾十の巨大な氷柱がルヴィリオの周りに突如として現れ、次の瞬間、
魔族へと真っ直ぐに突き進む!

『ぐうぁあッ!?……な、貴様……何故呪文を唱えず……!?』

手足を氷柱に貫かれ、苦痛にもがきながらも魔族は叫ぶ。
その言葉には、ゼロスも同感だった。

――人間は呪文を唱えなければ……魔法を使えないはず……!?

ルヴィリオは答えず、またも杖を床に打ちつける。

「太陽の道標」


こうっ!!


上空から鋭く眩い光が魔族を貫き。
その姿を焼き付けるように照らし出した。

『……ぁ……ああああああ…………ッ!!!』




光が収まり神殿に残るは、穏やかに立ち尽くすルヴィリオ
言葉を無くす、ゼロスだけだった。





NEXT.

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