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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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―出会うもの―




――この辺りにするか。

そんなに深くはない森の中に、ふっと人影が忽然と現れる。
年の頃は 7~8 歳くらいの金髪金眼の少年だろうか。
もちろん普通の少年が魔法も何も使わず、虚空から現れるわけがない。
少年は、この場所に相応しいと思ったゼロスの変化した姿だ。

ついっと辺りを見回し、ゼラスが与えた使命を思い出していると、
ふいにガサリと茂みが揺れた。

「ガアァアアッ!!」
「…………。」

咆哮にちらりとそちらに目をやる。
レッサーデーモンが1匹、ゼロスに向かって突進してきた。
その突進をひらりと交わして、怪訝そうに目を細める。

――邪魔だな。

すっ、と人差し指を真っ直ぐ向けて――


ちゅどんッ!!!


「…………?」

いきなり消滅したレッサーデーモンを、訝しげにゼロスは眉を潜めた。
腕を持ち上げただけで、何の力も突きつけてはいないのに。
今度は背中の方の茂みが音を立て。
ゼロスは今度はそちらへ、ゆっくりと目線を向けた。

「こんな所まで逃げ込むなんて……。まったく、野良は手間を
 とらせてくれるよね……」

1人の青年がそこに立っていた。
こげ茶色のマント、ゆったりとした薄茶色の上着、藍色のズボン。
腕と足首、そして腰には黄色の紐がきっちりと結んであり、
手には宝玉のついた木の杖を持っている。


トントン


杖を地面へ打ち付け、青年は溜息をつきながら呟く。
しかしその表情は、小さく静かに微笑みを浮かべていた。

「――おや? 子供……?」

その場にいる自分以外の存在に、青年はようやく気がついた。
ゼロスはただ黙って、青年を見上げているだけ。

「……君、どうしたんだい? この森は最近デーモンが多発していて、
 危ないから誰も近づかなくなってるんだけど……」
「……迷って」
「……迷う?」

ぽつりと呟いたゼロス。
青年はきょとんと首を傾げた。





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