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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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15

 
―限定と決定―

 

突然、ルヴィリオを殺すことを止めてアストラル・サイドに
消えたセルネルとラルトフ。
首を傾げて虚空を見ているルヴィリオを眉をひそめながら、
ゼロスはちらりと横目で見やった。

ややあって、彼は村の惨状へと目を移す。

―― ……さて。

意識をアストラル・サイドの奥へ向けたゼロスは、
行動を不信に思ったセルネルとラルトフを追うかを迷った。
まだ、多少の気配は残っている。
追おうと思えばまだ追える範囲内ではあった。

どう考えても、あの去り方は何かがあるだろう。
だが、もしそれが冥王の命令だとしたら?

――ならば、私が干渉するべきではない。

自分は冥王ではなく獣王の配下。
行動を不信に感じたからと言って、どうするというのだ?

答えは単純。
どうもしない。

上司を敵だというのならば、即座に存在を消すが。

―― ……私の使命は他にある。

“限定” はすぐにすることが出来た。
それでも、 “決定” づけることが中々出来ない。
苛立ちはしないが、長々と時間をかけていいものではないだろう。
ゼロスはルヴィリオからさっと目を離して、アストラル・サイドを
移動すると “外” の虚空に戻る。

ゆっくりと地面へ足を下ろした。
しんとした空気が、洞窟の中に行き渡っている。

中心にあるのは、彼が村長に壊したと偽ったあの祭壇がある。
すっと祭壇に近づき、ゼロスはじっと祭壇を見下ろした。

「……これは……!」

驚いてゼロスは声を上げる。
剣に姿を変えていた魔族の瘴気を受けていた祭壇は、
ものの見事に綺麗に浄化されていた。
よほど強い瘴気でなければ、浄化の力の方が強いかもしれない。

これほどまでに浄化させるには祭司クラスの力が……
もしくは賢者と呼ばれてもおかしくはないかもしれないほどの力。

「何故だ……?」

呪文無しで使える力――。
世界の法則に縛られることなく、次々繰り出される未知の魔術。
それを行使する、謎の青年ルヴィリオ。

――法則が違う……? ……根本的に違う力……?
   だが、そんな物があるはずがない。

この世界は “あの御方” に創り出された。
そして創られた法則の上に成り立っているのだ。

魔族が混沌を求めるように。
神族が闇に抗うように。
人間が生と死を繰り返すように。

「そんなものを、使えるはずがない……」

――あの人間は何なのだ? それが分かれば私に課せられた
  使命は、まっとう出来るというのに。



「ゼロス」



先ほどからこちらに向かってくる気配は、とうに感じていた。
どうせ先ほどの行動も言葉も聞かれていないだろうから、
別に焦りなどはしない。
見られたならば、結果は一つなのだから。

ゼロスは振り返った。

「……無事だったんですね」
「ああ、ゼロスも無事で良かったよ。襲撃があって、すぐここに
 逃げ込んだんだね?」

安心したようにルヴィリオは、穏やかな顔で笑った。
そんな彼はゼロスは冷めた目線で見ていた。

事はもうすぐ動き出す。
そんな予感を抱いた。





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