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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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13

 
―気配―

 
 

トントン


首を傾げるルヴィリオは地面に軽く杖を打ちつかせながら、
セルネルたちに問う。

「僕を探して、この村の人たちを殺したのかな?」
「別に命令したわけじゃないけど? あいつらが勝手についてきて
 勝手に暴れただけさ」

くるっと周りを見渡して、ラルトフがくすくすと笑う。

見るも無残な光景――。
しかしそれが、辺りに未だ渦巻きつつある負の感情が、
ラルトフとセルネルの機嫌を浮つかせている。
もちろんアストラル・サイドにいるゼロスもつい先ほどまで、
たっぷりと負の感情を喰らわせてもらった。

ふう……とルヴィリオは息を吐いて首を振った。
その仕草で黒髪がさらりと揺れる。

「やはり、魔族は私の許容範囲を軽く越えるね」
「あらあらぁ? もしかしてぇ、怒っちゃったのぉ? こっわぁい!」

笑いが零れる口元を押さえながら、セルネルが怖がる振りをする。
だが、ルヴィリオはさらりと無視した。
先ほどずっと微笑み、杖を地面に打ちつかせ続けた状態だ。



「何の未練もないけれどね」



―― ……!

ゼロスは瞬間、素早く空間を移動して飛んでくる殺気を避けた。
意識を殺気の方向へ向けてみる。
すると、自分と似たような存在がそこにあった。
無論、力の差は幾分違ってはいるのだが。

『……何処の存在だ……貴様は冥王様に属する存在ではないな?』

ゆらりと存在が揺れて警戒するような気配を持つ。
対して、ゼロスは静かな気配を持った。

『聞いてどうする』
『……この場を早々に立ち去ってもらおう。我が主、セルネル様と
 ラルトフ様の邪魔をするならば……』
『邪魔をするならば……? 貴様ごときに何が出来るというのだ』
『――ふ……視た所、存在し始めて幾日も立たぬ貴様が……
 このユラルクスを愚弄するか……』

そんなゼロスの気配に警戒していた気配が、憎悪のような、
嘲りのようなものを帯びて膨れ上がった。
その気配などに微塵にも臆せず、ゼロスはただ余裕の沈黙を返す。
ユラルクスが、その態度をどう取ったのかは不明だ。

しかし、もう一度殺気がゼロスに向かって飛ぶ!

ゼロスは先ほどと同じく、空間を渡る。
今度は自らの末端を鋭利な刃と化し、一直線にユラルクスに
向かって滑らせる。


ヴォンッ!!


空間が刃に呼応するように唸りを上げた。
ゼロスのあまりにも素早い動きについていけなかったのか、
ユラルクスは刃に末端を貫かれた。

『ぐ……ッ! ……だが甘い!!』

うめくユラルクス。
だがその末端を切り離し、分裂させてゼロスを襲う!


ヴヴヴヴァァアアッ!


豪雨のように降り注ぐそれを、ゼロスは唸る空間の振動に
わざと身を任せることで、歪む空間がいくつかの末端を弾く。
それに乗じて、ゼロスはその他の末端を弾き返して
瞬時にユラルクスの背後へと空間を渡った。

しかし。
それを読んでいたユラルクスが力を放――



ドズンッ!!!



本体をユラルクスに貫かせながら。
静かに静かにゼロスは言った。

『……我が名はゼロス。獣王様の直属の配下だ……』





NEXT.

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