忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

20





『臨也、から手を離してほしい』

普通に見やれば、セルティは静かにPDSを突き出していて、
いつもの通りの静かな立ち振る舞い。
あたしは新羅ほどにセルティの気配はうまく読めないけど、
でもきっと、少し怒ってる。

折原臨也がそれに気づいたかどうかは、分からない。
だけど、一瞬つまらなそうな目をしたことだけは分かった。
パッとあたしの頬から手を離す。
それだけのことに、あたしはひどく安心した。

何とか後ろの彼を刺激しないように、極力普通の表情と動作を
全力で心がけながら、セルティの元へと歩み寄る。
どうにか傍まで行くとセルティの肩から少し力が抜けて、そっと
頭を撫でられた。

「……セルティ、早かったね」
『そう? これでも少し遅かったと思ったんだけど』

今の時間帯は、セルティが仕事を始めるにはちょっと遅めで、
終わるにはちょっと早いぐらいの時間。

運び屋のセルティの仕事は、ほぼ夕方頃から始まって夜に終わる。
それはちょっと危ないものを運ぶ依頼が多いセルティが、影を存分に
扱うことが出来る時間帯だから。

――とはいえセルティが開き直る前よりは、時間帯にはあまり
こだわらなくなったらしいんだけど。

「……ふうん、うまくやってるみたいじゃん。そんなに楽しいの?
 家族ごっこ」
『悪いが、私は“ごっこ”だとは思っていない』
「いや色々とおかしいでしょ。あの新羅と、首無しライダーの君と、
 得体の知れないオンナノコの3人だっていうのに?」
『それでも』

きっぱりと答えてくれるセルティ。
あまりの断言に、あたしは思わず笑ってしまいそうになる。
反対に折原臨也は完全にその場の興味が失せたような表情を浮かべると、
ひょいっと肩をすくめる。

「……はあ……何だか表紙抜けだなあ……。ま、噂のちゃんに会えたし、
 それだけでいっか。静ちゃんに喧嘩売って帰るよ。じゃーね」

ひらりと片手を振ると、折原臨也は本当に未練もないようにさっさと
人混みの方へと歩き出した。
それにしても、あんな軽く静雄さんに喧嘩売って帰るって……本当に
折原臨也って変わってる。

……このあと、池袋のどこかが破壊されるんだろうなあ……。
多分セルティも同じ心境だったらしい。
ちょっと遠くを見るような感じで、黄昏てた。

「セルティ、帰ろ?」
『うん、帰ろう』





遠くから、破滅が聴こえないうちに

拍手[0回]

PR