「ふーん……なるほどねー」
淹れてもらった温かい紅茶を飲みつつ、あたしは相槌を打った。
とりあえず、2人に教えてもらったのは次のこと。
セルティが “デュラハン” という存在であること。
新羅は裏で生きる闇医者であること。
セルティが失くした記憶を、失った首を捜して日本まで来たこと。
ある事件をきっかけに、セルティが首なしの姿に開き直ったこと。
それが元にセルティと新羅が恋人同士になったこと。
……嬉々と話す新羅は殴られてたけど。
……つまり、説明の大部分はセルティが人外であることについて、
差し障りのない事情だけ。
ダラーズとかの話は、ひとつも出てこなかった。
まあ、セルティの首についての話だから当然なんだけど。
そうして時間軸を考えるなら、すでに一巻は終わってるみたい。
……正直、ダラーズだったら入ってもいいかなーとか、
思ってたりするんだけど。
抗争に巻き込まれたりはしたくはないけど、ダラーズって帝人始め、
セルティとか静雄さんとか門田さんたちとかいるんだもんね。
折原臨也?
意図的に外したよ (ニコッ)
「あはは、愁ちゃんは本当に驚かないねえ」
「……んー、結構驚いてはいるんだよ? でも、どこまで反応したら
いいかなあと思って……」
『どういうこと?』
不思議そうなセルティに、あたしは苦笑する。
「んー、何ていうか……こう、ドッキリを仕掛けられたあとにネタばらしされて、
仕掛けを説明された感じっていうのかな? あまりに仕掛けが大袈裟すぎて、
もう何て言ったらいいか、分からなくなったっていう……」
「ああ、ネタばらしの時に驚きすぎちゃって、そのあとは逆に冷静に
なっちゃったと」
「それそれ」
新羅の的確な言葉にあたしは頷く。
すると、セルティは少しだけ遅れてPDSをあたしに向けてくる。
『怖くなかった?』
「まさか! あたしは一番最初に、セルティの優しいとこを見てるんだよ?
怖いなんて思えない」
セルティは安心したように、あたしの頭を撫でてきた。
何故だか新羅はそれを微笑ましいような目で見てきてるし、
あたしは妙に気恥ずかしくなる。
だけど何だか、今は黙って受け入れててもいいかなって。
あたしは笑って、照れた。
照れ笑いを浮かべ、お礼を告げて