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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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みをまかせて、いつものように(ハリポタ/願叶)


※本編終了後



 


あたしがこの世界に来てから、習慣づいたことがいくつかある。

ひとつは、早起き。
これはポッター家で過ごしてた時からの習慣。
居候の身としては無駄に寝てないで、少しでもリリーのお手伝いしたり、
ハリーの面倒を見たり、ジェームズに話を聞いたりしたかったからね。
もちろん自分なりに、対策の準備をするためでもあったけど。

ひとつは、魔法薬の調合。
言うまでもなく、リーマスの脱狼薬を調合し始めてからの習慣。
材料自体にも気をつかうし、一週間ほど服用しなきゃいけないから
それなりに量を作らなきゃいけない。
まあ、ホグワーツで改めて勉強した魔法薬学が楽しかったって
いうのもある。
今では脱狼薬の他にも、色々と薬を調合出来るようになったし。

そして、忘れちゃいけないのがティータイム。

あたしは元々そこまで紅茶が好きっていうわけでもなかったんだけど、
ポッター家にいる時は、毎日ティータイムがあった。
そのあとリーマスと暮らしてた時には、その日のリーマスの体調次第で
やったりやらなかったり。
紅茶は毎日飲んでたけどね……何となく。

今ではティータイムの時間がないと、何だか違和感を覚えるほど。
とはいえ、紅茶を多く飲んでるのはあたしぐらい。

シリウスは紅茶も飲むけど、紅茶よりはコーヒーの方が好き。
リーマスの場合は、紅茶の他にもココアとかホットミルクとかを飲む。
ハリーは子供らしく何でも飲んでる。
だけど、最近はハリーも紅茶が多くなってきたかも?



「だってさ」

ソファに座って紅茶を飲みつつ、あたしは何気なくそんな話をしてみる。
すると、スコーンにクロテッドクリームをたっぷり塗っていたハリーが
ぴたりと手を止めた。
うんざりした表情を浮かべて、あたしを見やる。

「考えてもみてよ、ハルカ……。おじさんの家じゃティータイムなんて
 出来るようなことじゃないし、僕もやりたくないよ……」
「……なるほどね」

あたしは思わず苦笑した。
確かにダーズリー家でのティータイムは、くつろげなさそう。
ぱくりとスコーンを一口食べて、ハリーは続ける。

「だから、僕がちゃんとしたティータイムをするようになったのって、
 ここに住み始めてからじゃないかな。僕、ホグワーツでもあんまり
 そういう時間はとってないし」
「あ、そうだったかも」
「ね?」

言われて思い返してみれば、そうだったかもしれない。

朝食の時とか、寝る前とかに紅茶を飲んだりはしてたとは思うけど、
確かにティータイムっていうほどの時間はとってなかったはず。
ホグワーツじゃ色々と事件が多かったから、何かとやることが
たくさんあったし、ハリーだけにしてもクィディッチの練習が多くて
時間を取られて忙しかった。
っていうか、あたし自身がそうだったもんね。

ゆったり紅茶を飲んでた時間って、シリウスにご飯を届けてた時ぐらい?
……あれはでも、ティータイムって言えない気がするけど。

「僕の場合、習慣になるほどやってなかっただけさ。ハルカ
 こうしてティータイムの時間を作ってくれるから、ようやく僕も
 慣れてきたって感じだよ」

笑ってそう言ってくれるハリーに、あたしも笑う。

「今は楽しいよ、ティータイム」
「そっか……良かった」
「美味そうだな」

そう声がした瞬間、あたしの真後ろから腕が急に伸びてきて、
お皿に盛り付けてあった一口サイズのサンドイッチを一切れ持っていく。
驚いて振り返ってみれば、いつのまにか買い物から帰ってきていた
シリウスがサンドイッチをつまみ食いしてた。

「もう……驚かせないでよ。お帰り」
「シリウス、リーマス、お帰り!」
「ああ、ただいま」
「ただいま。つまむより先に荷物を片付けてほしいなあ」

もぐもぐと口を動かしているシリウス。
その姿に、荷物を持って部屋に入ってきたリーマスが呆れて溜息をつく。
慌ててソファを立って、あたしはリーマスの荷物を少し引き受けた。

「どうしたの? こんなにたくさん……」
「色々と足りないものあったから、ついでにね」
「わ、本当だ……ありがと」
「夕食はシェパード・パイとキドニーパイを作ろうと思ってるんだ。
 無理そうなら違うのを作るけど」
「ううん、美味しそう! あたしも手伝うよ」
ハルカは駄目だ」

あたしの言葉にリーマスが口を開いた時、腕の中の荷物がひょいっと
シリウスに持っていかれる。
ちょっとだけ肩をすくめながらシリウスを見上げてみる。
シリウスは少し難しい顔をしながら、そっと額に手をあててきた。

「……もう熱は下がってるってば」
「まだ少し熱いぞ」
「シリウスは今まで外にいたから、手が冷たいんでしょ」
「それでも駄目だよ、ハルカ

リーマスが首を振る。

「今日は僕とシリウスが夕食を作るから、ちょっと休んでて」
「……本当に大丈夫なのに……」
ハルカ、僕も2人を手伝うからさ!」

ハリーにまで言われて、あたしの味方は誰もいない。

春が近くなってきたからか、気温が暖かくなったり寒くなったりして
あまり安定しない。
その差についていけなくて、あたしは少し風邪気味になっていた。
そのせいか、今日は起きた時に熱が出てた。
でも、2人が出かける頃にはもう下がってたっていうのに……。
もちろん心配してくれるのは嬉しい。
今まで熱を出すほど、体調が悪くなるってことがあんまりなかったから、
余計に心配かけちゃったのかもしれないと思う。

何せ、いつもの朝食はトーストとかシリアルとかが多いのに、
今日はあたしだけオートミールだったしね……。

「ほら、ハルカはティータイムに戻ってていいから」
「僕たちだけで大丈夫だよ」
ハルカには、アフターディナーティーを用意してもらうさ」
「……分かった。それじゃあ、夕食はよろしくね」

両手を軽く上げながら降参して、ソファに座る。
シリウスとリーマスは頷いて、荷物を抱えてキッチンへ。
そして今度はハリーがソファから立ち上がり、夕食の準備をする2人を
手伝うために追いかけていった。

わいわいと聞こえる声を BGM に、あたしは紅茶を飲む。
とりあえず……たまにはこんな日もいいのかなあ。

アフターディナーティーは、美味しく淹れなきゃ。





END.

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