煌めいたのは、挑戦的な瞳。
いや――。
挑戦という言葉は、とても良いように言い換えただけ。
その色をありのままにいうのなら――嘲り。
侮蔑と軽視に染まった、卑しむ者への見下す瞳。
その口元には、うっすらと小さな微笑が浮かんでいた。
唇だけの微々たる笑みは一瞬として揺らぎもせず、
ただ瞳の煌めきと共に闇の中に在る。
目の当たりにした青年は、するりと視線を流す。
射抜こうとする視線を無視して、店の外へ踏み出した。
フードを目深にかぶりなおしながら、足を進める。
薄暗い通りを早く抜け出してしまいたいと青年は思うが、
人目に印象付けるようなことは全て避ける。
早くも遅くもない足取り。
青年は歩くスピードを変えず、何度か角を曲がった。
いくつめかの角で、背後に感じていた気配がふと消える。
用心のためにしばらく角を曲がり続けた青年は、
完全に背後の気配がないことを確認してから通常の道を行く。
忽然と明るい通りに出た青年は、ひとつ溜息をつく。
しかしすぐにフードを外さず、そのまま目的の店へ入る。
完全にドアが閉まり、鍵がかかったのを見てフードを外した。
「ああ、帰ってきたんだ。目当てのものは買えた?」
「……とりあえず」
「ん?何かあったの?」
帰りを待っていた人影は、青年の表情に眉をひそめる。
「いえ……ただ、変な人に見られたので疲れました」
「何だ、変態か。ああいう所はそういうのが多いんだから、
実害がなければ気にしない方がいいよ」
「そうなんですけどね……」
「そうそう。さて、すぐにホグワーツに帰る?」
「お願いします」
「了解、またのご贔屓に」