忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第4章 台風3号 マワルウンメイ(2)





その日、君尋は侑子さんに朝食を作るため泊り込むことになった。
私がベッドから降りた後はちゃんと家に帰っていってたから、
少し久しぶりって感じになるのかな?

食事のほとんどは君尋が作って、私は少し手伝うぐらいだし。
いやでもさあ、君尋のご飯ってすごく美味しいからね……。
うんうん、明日の朝食もかなり楽しみだ!

私はひとつ笑みを浮かべながら、ベッドにそそくさともぐりこんだ。



『まわり見て歩け、阿呆』
『誰が阿呆だー!』
『暴れんな』

『百目鬼! ―― ……それ』
『――開かなくなる病気なんか、聞いたことねぇからな』

『――何か分かるかもしれねぇ!』
『無理だ。おれは――』




「――え」

……今の、何……?

変に速い動悸がする胸を押さえて起き上がる。
背中に冷や汗が伝って、二の腕にぞくりと鳥肌がたつ。

君尋と一緒にいた長身の男の子。
右目を押さえながら、顔をしかめてる場面。

男の子は“百目鬼”って名前で君尋に呼ばれてた。
確か、君尋の話に良く出てくる“むかつく”男の子の名前。
君尋みたいに直接アヤカシを見ることは出来なくても、気の弓矢で
アヤカシを祓うことができるっていう神社の子……だよね。

憤慨する君尋をよそに、侑子さんはいつものように笑いながら、
そのことを良く思わないアヤカシが、2人の仲を悪くさせてるって
言ってたけど……。
何で、そんな2人の夢なんて見たんだろう?

朝日が窓から差し込んできて、部屋が明るくなってきてる。
君尋が持ってきてくれた小さな置き時計は、いつも起きる時間を
少しだけ回ってた。

……あれ……?
もしかしなくても寝坊した?

『今日の夕飯、酒は二合までっす!』
『鬼―――――――――――――!!』


侑子さんの悲痛な叫び声が聞こえてきた。





NEXT.

拍手[0回]

PR