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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第4章 台風1号 ウルサイアマオト(2)





雨音と、誰かの声に支配される世界。

でも辺りは暗くなくて、何故かとても明るい。
そのことだけが不思議に感じた。

目の前にはあまりにも強い紅緋の光が。
私の横には溶けゆくような薄桜、揺らめく琥珀、頑なな漆黒、
隔たる紺碧の光がある。
紅緋より少し奥には、白緑の光が霞んでいる。

……ああ、誰の光だろうか……。
囲まれている――。


「それでも世の中に偶然はないわ。あるのは必然だけ」


……ひつぜん……?
それは一体、どういうこと?

どうしてそれだけはっきりと聞こえたんだろうか。
光に囲まれた今の私には、何もかも分からない。

何を聞いているのか、何を答えているのかさえ分からない。

ここはどこで、私はどんな状態でいるのか。
そして、誰が私に問いかけているのかも。


「貴女は3人とは――ない。だから――違うわ。貴女の――もう一つ」


私の、何――?
“もう一つ”って?


「覚悟と誠意。何かをやり遂げるために、必要なもの―――」


覚悟と誠意―――?

それは前に、一度だけ教えられたことがある気がする。
ああ、それを教えてくれたのは……誰だろう……?

どうしてだろう……。
思い出せない……私は何も――。





「……どうか、彼らの旅路に幸多からんことを」





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