雨音と、誰かの声に支配される世界。
でも辺りは暗くなくて、何故かとても明るい。
そのことだけが不思議に感じた。
目の前にはあまりにも強い紅緋の光が。
私の横には溶けゆくような薄桜、揺らめく琥珀、頑なな漆黒、
隔たる紺碧の光がある。
紅緋より少し奥には、白緑の光が霞んでいる。
……ああ、誰の光だろうか……。
囲まれている――。
「それでも世の中に偶然はないわ。あるのは必然だけ」
……ひつぜん……?
それは一体、どういうこと?
どうしてそれだけはっきりと聞こえたんだろうか。
光に囲まれた今の私には、何もかも分からない。
何を聞いているのか、何を答えているのかさえ分からない。
ここはどこで、私はどんな状態でいるのか。
そして、誰が私に問いかけているのかも。
「貴女は3人とは――ない。だから――違うわ。貴女の――もう一つ」
私の、何――?
“もう一つ”って?
「覚悟と誠意。何かをやり遂げるために、必要なもの―――」
覚悟と誠意―――?
それは前に、一度だけ教えられたことがある気がする。
ああ、それを教えてくれたのは……誰だろう……?
どうしてだろう……。
思い出せない……私は何も――。
「……どうか、彼らの旅路に幸多からんことを」
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