忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第4章 台風1号 ウルサイアマオト(1)


 


――ザァ……ザァ……ザァ……



「――そんな……だったのね。それも――けれど……」


雨がうるさい。

この声を、聞かないといけない気がする。
だけど、雨音でとぎれとぎれにしか聞こえてこない。

何だか目が上手く開かない。
体が強張って動かない。

どうして。


「名前は?」


無意識に口が動いて自分の名前を名乗る。

どうしてかが分からない。
声はちゃんと聞こえてくるのに、頭に入ってこない。

“理解”しているのに“理解”できない。

けれど答えなければならないような気がする。
それでもまるで理解した瞬間、そのまま静かにかき消えるかのような。

私はどうして、こんな風になってる?


「ここに―― 貴女の願いは何?」


――ザァ……ザァ……ザァ……ザァ……


雨は止まない。

ああ、音がうるさい。

何も見えない――。





NEXT.

拍手[0回]

PR