ヴォイムに案内されてきたその場所で。
私は目を見開いて、息を呑んだ。
「……な、……っ」
「――これで分かったであろ? だから余もこれをこうやって見るのは
久しぶりなのだが……うーむ、やはりすごい力だ」
「これは……」
独り言のようなヴォイムの言葉は本当だった。
目の前にそびえているのは、きらきらと白銀に光りながらも強固に
凍った巨大な一つの透明な結晶。
中央に鎮座している銀色の石が、きらきらと光沢を放つ。
確かにこれは簡単に“触れる”ことを許しはしない護りの壁だ。
いや……違う。
これはそうじゃない。
私たちの中にある何か、言うなれば本能というものが勝手に、
“触れれば許されない”と思ってしまうんだ。
石の輝きに、石の威厳に、石の存在に、石の全てに。
――力のある石に。
「何なのこれ……? ……すごすぎる……」
「こりゃあ、かなり圧倒されるぜ」
「綺麗ですわぁ……」
「この力は一体――!」
ヴォイムに案内される私を何だ何だとついてきた他の皆も、
あまりの絶大な石の効力に絶句する。
それは悪い意味なんかじゃなく、本当にただ魅入られる。
心が。
魂が、あの光に魅入る。
凍っているけれど、決して冷たくなんてない光。
まるで優しく包みながら見守るような―――まるで静かに微笑むような、
夜空に輝く月明かり。
私は、ゆっくりと瞬いて、石を見つめた。
NEXT.