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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第3章 台風11号 根源(1)





「……さてと……」

私は空を眺めるのをやめて、ゆっくり立ち上がる。
もうしばらくすれば、ヴォイムが言ってたリナやオーフェンたちが
自分たちの世界に帰る時間になるんだろう。
何だかリナたちやドロシーたちの雰囲気がすごく居心地よすぎて、
長居しすぎたけど……依頼はちゃんと果たさなきゃね。

ぐっと背伸びをしてからヴォイムを探してみれば、何故か分からないけど
ナーガの話を腰を据えて真面目に聞いてた。
近づいてみて何の話かと思えば、カリフラワーの時価について。
……っていうか、まだ人生相談やってたの?

どれだけ長いあいだ話してたんだろうと呆れて肩をすくめながら、
話が一呼吸つく頃を見計らって声をかけた。

「ナーガ、大事な話を中断して悪いんだけど、私、ヴォイムにちょっと
 聞きたいことがあるから……」
「ふっ! 別にいいわよ。だいたい大切なことは話し終えたから」
「余に聞きたいことであるか? 何であろ?」
「えーと……」

きょとんと首を傾げて私を見上げてくるヴォイムは、最初に会った時とは
もう別人のような気がした。
私はちょっと遠い目をしながらも、指先で空に形作った。
片手におさまるくらいの楕円形。

「ちょうどこれくらいの大きさで、銀色に光る石っぽいの、心当たりない?
 私がこの世界で探してる依頼品なんだけど」
「……ふむう……?」

私が示した手の形と言葉に、ヴォイムは腕を組んで顔を少し俯かせながら
ちょっと考えこむ。
そして何かに思い当たったらしく、私を見やって言う。

「それは――もしや、余がこの世界を造った時に、どこからか降ってきた
 ものではないか?」
「多分それかもね。それって今どこにある?」

確か、あの時聞いた L 様の話では“世界が創造される時に起きる、
ゆがみの中に落ちた” って言ってたし、多分ヴォイムの言うそれで
間違いないと思う。
……でも本当に、城の瓦礫の下にあったらどうしようか……。
しかも傷ついちゃったりしてたら……本気でどうしよう。

(私のせい、になるのかな?)

すると、ヴォイムは難しい表情をした。

「ふむ……あの時一度きりしか見ていないが、落ちてきた場所なら
 ここから少し離れた所にあるはず……。しかしあれは……余にさえも
 触れられぬ、摩訶不思議なものだった」
「――触れられない?」
「まあ、実際に見てみれば分かるだろう。ついて参れ」

そしてヴォイムは立ち上がって、歩き出した。





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