忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第3章 台風10号 ただ、自己満足ですから(1)





「はあ、やれやれ……」

とりあえず、騒ぎというか何とかいうかうん……騒ぎ。は、
うやむやに一段落させて終わった。

何だか小さくなってしまって腰の低くなったヴォイムによれば、
リナたちは一週間ほどすれば勝手に元の世界へ帰れるらしい。
つまりその時間が来るまでは、どっちにしろ、喚こうが脅そうが
ここにいなくちゃならないってことで。
こんなに疲れたのって、本当に初めてかも……?

私はわいわい盛り上がってるリナたちとは少し離れた場所で、
ひとりのんびりと日向ぼっこをしてた。
背を預けた木は大きくて、さわりと揺れる木陰が心地いい。

「……ここ、隣いいかしら? セツリ

静かな声に閉じてた瞳を開ける。
私は微笑みを浮かべた。

「ああドロシー。もちろんいいよ」
「そう。ありがと」

ドロシーは私の隣に座ると、絵を描くのか、ヴォイムに出して
もらったらしき画材を準備して作業にとりかかった。
覗いてても怒られなかったから、見ててもいいってことかな。
まったく止められたりしないのをいいことに、私はゆったりドロシーが
描いていく絵を眺める。

少しずつ、筆によって描かれる綺麗な水彩。
へえ……絵が上手なんだなー、ドロシーって……。

「ドロシー、この絵のタイトルは?」
「『岩』よ。」
「へえ」

……あー、うん、岩ぽかったけど、そうなんだ。
この絵って完成すればゼルガディスの人物画になるんだ。

どきっぱりと “岩” って言われちゃってるし……この台詞、ゼルガディスが
聞いたらショックだろうなあ。
そういえば、何気にここからでもアメリアたちの虫レースを観戦してる
ゼルガディスが見えてるしね……。

ふと、ドロシーが顔を上げた。
 




NEXT.

拍手[0回]

PR