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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第3章 台風9号 ……疲れました。(3)


 


「……うそっ!?」
「うーわあ……」

リナの悲鳴に渦巻く土煙の方を見ると、大きな影がひとつ。
待って待って待って……。
どれだけ強固なんですかー、あの “究極住人” さんは?
あれだけの攻撃をくらってまだ消滅してないなんて、その生命力は本当に
キースとナーガだよ。

ヴォイムが立ち上がって勝ち誇ったように笑い始めるけど、
すぐにイラついたオーフェンに蹴倒された。

「倒して欲しいんじゃなかったのか、ええ?」
「うう。いいではないかちょっとくらい忘れたからといって」
「……けどなんか……ちっちゃくなってません?」
「ん?」

アメリアの声に、皆が首を傾げる。
ああ、そう言われてみれば何か最初の頃よりも、半分くらいほど
小さくなってるような気がしなくもない?
だんだんと周囲で荒れていた風が静かに静かに止んでいって、
土煙が晴れてくるにつれてはっきりしてくる影。

……あ……。
あれ……は……まさか……。

それを目前にした私は、思わず両肩からがっくりと疲れたように
力が抜けてくるのを感じる。
……まあ、それは私だけでなく皆も同じようで。

影の正体に気づかせたのはオーフェンだった。

「……頭……だけか?」
『ほほははほほははほほははほほははほほはは』

地面に落ちた大きなキーガの頭から生えている足が、
じたばたじたばたしてて見苦しい。
さすがの私も色々と疲れて、もうちゃんとリアクションをとる気力を
使い果たしたような気がする……。
ふいにドロシーがじたばたする足に近寄っていって、ずっとくわえていた
煙草をぎゅうっとキーガに押し付けた。

すると、強固であっても熱は分かるらしいキーガは大きく悲鳴っぽいのを
上げながら前に地響きを上げてコケた。
しかも倒れた格好がうつぶせだからか土を吸い込んだらしく、笑い声が
一瞬止まって、時々咳き込み始める。

「起き上がれない……のか?」
「起き上がれないんだ……」
「…………永遠の……」
「永遠か」

ぽつりと呟くヴォイムにはもう同情なんて出来ない。
永遠というものを求めることなんて、否定こそしないつもりだけど、
終わりはそこまでして嫌わなければならないのか?
そりゃあこんな事態さえも、何だかなあーって感じなんだけどさ。

きっと、全員の感情は今ひとつになってると思う。

はっきり言って。
この終わり方は、かなりむなしいことこの上ないと。




NEXT.

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