忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第3章 台風9号 ……疲れました。(2)





かのドラゴンを打ち倒す呪文をリナが唱え、同じくオーフェンが
多大なる魔術の構成を編んでいく。
そしてゼルガディスとアメリアが2人に続いて呪文を唱えだし、
ガウリイが雄々しく光の剣を抜く。
コギーとボニーが一緒に投げようと構えたダーツと虫と、ドロシーが始めた
準備体操を私が止める。
特にドロシー。

そして私もゆっくりと唱えだす。
叔父さんの書斎で見つけた 『魔法術解読』 と書かれた分厚い本のことを思
い出しながら。

その中身はここでは使えないよと静かな笑みで言われて、
あの時の私はどうして使えないのと聞き返した。
まだ幼かった私に分かるような言葉で、叔父さんは言った。



『それはね、雪里。その中に載っているものは “こことは違う場所の
 “ルール” のものだからだよ』



私を育ててくれた叔父さん。
もしもまた会えたら、貴方に聞きたいことがある。

あなたは何者ですか?
どうして “異世界” を知っていたのですか?
どうしてそんな本を持ち、魔法を肯定していたのですか?
どうして私に得られる全てを、叩き込んだのですか?

もしもまた会えたら――



「我が声を届けし世を渡る神風」



教えてくれますか?



「ドラグ―――」
「我は歌う―――」
「研ぎ澄まし冴え渡れ―――」


そして全ての呪文はそこに完成し、その力は合わさった。

「スレイブッ!」
「破壊の聖音!」
「風斬の大鎌!」


――しばらくの間辺りを貫いていった轟音の余韻が、
耳に響いて感覚をおかしくさせる。
体に吹き付けてくる豪風を、マントでしのぎながらおさまるのを待つ。
これほどの攻撃が直撃したんだから、たとえキーガがヴォイムの言う
“究極住人” だろうとなかろうとひとたまりもないだろうな。
むしろ、攻撃魔法が豪華すぎるくらいだよ。

いわゆるオーバーキル?





NEXT.

拍手[0回]

PR