とりあえずキースを沈めてから、町を壊しまくりながら
追いかけてくるキーガからひたすら逃げまくる。
はあ……ヴォイムを追っていったリナとオーフェンまだかな……?
このままだとドロシーの母体に、とてつもなく悪い状況なのに!
ふいに、ガウリイとボニーがリナ達を呼ぶ声が響く。
何だろうと振り向いてみると、全員が待ちくたびれてたリナと
オーフェンが走ってくるのが見えた。
「「「「「「「遅いっ!!」」」」」」」
「へっ?」
「今まさに世界の危機が訪れようとしてたのよっ!!」
「勇者が現れて何とかしてくれたけどね……」
異口同音の言葉にきょとんとするリナ。
それにアメリアが抗議し、コギーが身を振るわせつつ呟く。
そうだね、確かに世界……特に精神世界においての絶体絶命の
危機だったかなあ。
きっとあの合体技が完成してたとしたら、あのゼロスじゃなくても、
その上にいる腹心だとか、むしろ部下 S とかでも、きっと大きな
精神ダメージをくらってただろうに。
「もう! 何やってたのよリナ! 割れたパイナップルなんて持って!」
「いやいや、アメリア? それ割れたパイナップルじゃなくてボロボロに
なったヴォイムだと思うよ」
「引きずってくるのに時間がかかった」
「たしか……被害者の魔王ヴォイムさん……でしたっけ?」
「……いや……あの……ええと……はい。被害者でいいです……」
街はめちゃくちゃになり、自分自身もボロボロになったせいか何もかもを
諦めたようなヴォイムは、アメリアのかなり悲惨な問いかけに小さく
こくりと頷いた。
本人にしては “被害者” っていうのはすごく辛いだろうけど、
間違っちゃいないよね、 “リナとオーフェンの被害者” なんだし。
ぽいっと投げ出されたヴォイムに、多少の同情心が沸いた。
「とりあえず、茶番は終わりだっ!」
「とにかく、許可はもらったわよ。早い話が――撃ちたい放題ってわけ!」
にっこりと笑ってリナが全員にウインクを送った。
リナがそういう自信満々の言葉を言ったり表情を浮かべると、全てが、
何もかも上手くいきそうな気がするのは何でだろう?
でも、そういう気持ちを起こさせることが彼女の一番の美徳かな。
NEXT.