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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第3章 台風8号 合体融合は後を考えて下さい(3)





見たくない、見たくないと思いつつ私は覚悟を決める。
うだうだと考えこんでいても、状況は変わらない。
それなら進めるしかないのだから。
私が溜息を飲み込んで、ちらりと声がした方を見やってみると――
ナーガが黒いタキシードと白い手袋、蝶ネクタイをしてた。

つまり――変態執事ことキースの格好を。
……うわーあ……。

「はーっはっはっはっ! うわべのみの融合など無意味っ! 真の友情と
 信頼、ここに完成っ!」


本当に縦回転なんてどうやってるのか分からないけど、またもや見事に
やってのけたキースもナーガの隣に着地。
マントにくるまったキースの肩には、トゲトゲショルダーガード。

誰 か 本 気 で 助 け て。

「ふっ……これで互角」
「やめてぇぇぇぇぇぇっ!?」
『ほはほはほ……ほはほっ!? ほはっ……!』
「ちょっと待てちょっと待てっ!」


そう、悲鳴が飛び交う戦場なんてものは、 D. グレの世界で AKUMA との
戦いの時に、私は何度も何度も味わっていた。
戦う力のないファインダーの声でもあれば、初めて AKUMA の姿を
目の当たりにして恐慌に陥る村人や町人たちの声。
恐怖と嫌悪と憎悪とで、引きつった魂からの怯えた悲鳴。

だけど、今この耳をつんざく悲鳴にあるのはただ、恐怖――
恐怖、恐怖、恐怖、恐怖のみ……。
目の前で明らかになろうとする “現実” に対する恐怖しか、今ここにはない。

「ひぃぃぃぃっ! いやぁぁぁぁっ! もういやぁぁぁぁっ!?」

純粋に泣き叫ぶことが出来るボニーが、少し羨ましい。
マントをいざいざいざと、焦らしつつゆっくり開こうとしながら、
ありえない跳躍で辺りをぴょんぴょんと飛び跳ねるキース。

――こういう時に動けなくてどうする、仲野雪里

叔父さんに物事を叩き込まれるたびに、いつも言われていた
“肝心な時に何も出来なければ意味がない” って言葉が蘇ってくる。

ずっとそう言われながら、こうして育ってきてたでしょう?
手の中にあるのは何なの? 私の力になるものでしょう?
使うべき時に使わなくて一体どうするの?

すぐに動きなさい、仲野雪里

「はーっはっはっはっはっはっ!!」



「愚か者!! ドロシーの母体に悪影響だ
 コラァァアアア!!! 一撃打破奥義!!
 台風・竜巻の撃ィィイイイッ!!」




ズッバァアアアアアアン!!!!




「……ありがと、セツリ

静かなる沈黙の中。
ドロシーの言葉が静かに私に届いた。





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