「ここは宝物庫、ですの?」
きょろきょろとボニーが辺りを見回しながら訊く。
残念ながら、私には展示物の趣味の良さはわからないけどね。
「まあ、そうみたいだよ。ここでちょっと依頼品を探してたら、
床下からゴンゴンと叩く音が聞こえてきたってわけ」
「なるほど……。あのすごい硬い蓋、あんたが開けてくれたのね……」
「おー、そうだったのかー。ありがとな!」
「いえいえ」
隅の方に転がった蓋を見つけてがっくり肩を落とし、
コギーが安心したような声を出す。
しかもガウリイなんて、疑いもせずにお礼なんて言ってる。
本当に突っ込みがない会話だ。
「……それにしても、どうしてこんな床下から出てきたの?
見る限り、この下は地下水路みたいだけど」
その瞬間。
落ち込んでいたアメリアは、がばりと顔を上げると叫んだ。
「はうっ!! すっかり忘れてましたっ!!!」
「ああ! そーでしたわっ! このままではオーフェン様が!」
「あいつなら大丈夫な気がするけどね」
「俺はリナが無茶してないか心配だけどなあ」
突っ込み不在の会話が漫才化すると、
こうもグダグダになるのか。
忘れてたって……一体全体、君たちは何を目指してたんですか。
私にはこの会話に、終止符を打つようなつっこみは不可能。
まあ、それこそリナみたいにいきなりスリッパやハリセンを使ったり、
魔法炸裂とかすればすぐに終止符つくだろうけど……。
今は別にそこまでしなくてもいいんじゃないかとか思うのは、
ちょっとした現実逃避なのかな。
……今回ばかりはね。
NEXT.