突如巻き起こった暴風がサラリーマンっぽいもの全員を、
廊下の向こう側へと吹っ飛ばす。
私が使ったのは、ネギまに出てくる魔法だ。
よっし、成功!!
良く良く私の記憶力も伊達じゃないって所だね。
長々とした呪文は省略しちゃったけど――ありがとう L 様!!
ありがとうネギま!!
さっと、物陰に隠れて様子を見る。
サラリーマンっぽいものたちはゆっくりと立ち上がると、私という
目標を見失ったせいなのか、こっちには来ないで向こうの方へと
走っていってしまった。
うーん。
……リナとオーフェンを追っていったのかな……?
きっとあのサラリーマンっぽいものたちは “追って捕らえろ” と
ヴォイムに命令されれば従い、それ以外のことは何もしないんだろう。
役に立つんだか立たないんだか……よく分からない。
ああ、ある意味ゴーレムみたいな感じかな。
そして私は辺りを見回す。
「……あはは、やりすぎちゃった……ここどこらへんかな……」
道は覚えてるけど、その道から外れちゃったら意味ないよね。
とりあえずレイ・ウィングで真っ直ぐに飛んできただけだから、
ある程度、廊下を後ろに戻ってみるしかないか。
私はかりかりと頬をかきながら、辺りを見る。
サラリーマンっぽいものと戦う前とまったく変わらないような、
彩色の壁と絨毯が敷かれる長い廊下。
居城っていうのは、敵の侵入を防ぐためにわざと迷いやすいように
造られてあるって聞いたことはあるんだけど、
そういうの、住んでる人は迷わないものなのかな……?
まあ自分の家だろうし、生まれた時からずっとそこに住んでると
きっと迷わないようになるんだろうな。
溜息をついて戻ろうとして、瞬時に振り返った。
今立っていた場所から飛びのく。
すると、近くにあった扉が粉砕された。
ドガシャガラガラッ!!
「チッ、また変わらずに廊下か……」
「……面倒ね」
疲れたような声と、少し不機嫌そうな声が扉の残骸を踏みしめる。
真っ白なフード付きのマントの青年と、どこか違和感のある
長い黒髪のタバコをくわえる女性が立ってた。
ゼルガディス=グレイワーズ。
ドロシー・マギー・ハウザー。
その二人が手にしているのは――どこにでもある椅子と硬そうな石。
魔法でも傷一つ付かなかった扉を、あれでぶち壊してきたの……?
思わずぽかんとしてると、2人が私に気が付いた。
NEXT.