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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第3章 台風2号 笑う門には何が来ます?(3)





キースはようやく、へろへろ立ち上がるヴォイムの方を振り向いた。

「ヴォイム様、我々もあの者たちを追いましょうか?」
「……う……うむ……」
「では、行ってまいりましょう」
「ふ……ふっ! いきなりこの私に攻撃をしかけてくれるとは、
 やってくれるじゃあないの、リナ! 待ってなさい!」

憤然とがばりと立ち上がったナーガは、キースと大広間を出て行く。
間近で見たけどナーガの生命力ってすごいと思うよ、本当に。
さすがフィルさんの娘で、アメリアの姉って所か。

……うーん……。
D. グレや鋼の時とは違って、展開が分からないから動きようがない。
私はちょっと困ってかりかりと頬をかく。
まあ、とりあえず今は目的である L 様の依頼品を探そうかな。

私は L 様が見せてくれた、銀色に光る楕円形の石のようなものを
思い出してみる。
うん、一応最初は宝物庫にでも行ってみよう。

「すみませんが、宝物庫ってどこですか?」
「宝物庫であるか? この大広間を出て右に真っ直ぐいって右に
 2回曲がり、その次に左に1回曲がって、真っ直ぐに行った先の
 階段を上って左に行き、真っ直ぐに行って、最初の角を右に行って
 右にあるドアが宝物庫であるが……」
「ありがとうございます」

きょとんとしながら、私の問いにすらすらと答えるヴォイム。
私としては簡単でいいけど、そんな簡単に場所を教えちゃ駄目だろう。
一言お礼を言って、私は大広間を出て右に真っ直ぐ歩み始めた。

ヴォイムに教えられた道を、てくてくと歩く。
こういう迷路とも思えるような複雑な場所の道順を覚えるのは、
さんざん教団で2年もの間に慣らせられた。
教団の城も大きくて複雑だったし、任務で知らない町にも行ったし。
とはいえ、私は昔から知らない場所で迷子になるってことは
少ない方だったから、私には把握能力がちゃんとあるらしい。

えーっと、次の角を左に曲がってその先の……。



バタバタバタバタバタバタバタバタバタ!!



「ヴァン・レイル!!」

飛び出してきたリナ。
床に手をついて、氷のツタを張り巡らせて追っ手を凍らせる。
それにリナがちょっと得意そうな顔をするが、後ろから聞こえてきた
その大きな氷塊を踏み倒す音に振り向く。

異常すぎる世界ゆえの油断か、それともただの驚きか。

男達の武器らしきビジネスバッグを、動きが止まったリナに向かって
振り上げた男をオーフェンが瞬時に蹴り飛ばす。
そして2人は、そのまま走っていってしまった。

だけど何も知らずとはいえ、私の方に蹴っていくってどうなんだろう。
蹴っ飛ばされた全員は、近くにいた私を一瞥するとゆらりと
ビジネスバッグを構えた。

「わーやばい……」

っていうか、今度は私が標的になったの!?





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