“タイムリミット” っていう言葉の意味が分からなかった時に、
真理から言われた言葉。
この 『スレイヤーズ』 の世界で、終わりなんて言い方じゃない。
それにしてもこの私が放浪って……似合わないなあ……。
昔の叔父さんじゃあるまいし。
ぼんやり考えこんでしまった私に、L 様が目を見つめてくる。
『セツリ。まだ分からないことを長々と考えたって、無意味よ?
それなら、分かるまでとことん付き合うだけじゃない?』
「分かるまでとことん付き合う、ですか」
くすり、と静かに微笑みを零しながら L 様がそう言う。
分かるまでとことん付き合うね……。
さすがに L 様の言葉は、真理よりも素直に受け入れやすい。
何でだろう?
やっぱりあとがきで大ファンになったからだよね。
確かに最近、友人のこととかは思い出しても、学校とか家のこととか……
そういうのは考えるの忘れてたっけ。
行方不明になんてことになってなければ学校は大丈夫だろうし、
家だって叔父さんは今はまだ出かけてていないだろうし。
こうなれば、とことん付き合って白雪を探してもいいかもしれない。
ある意味……少し吹っ切れたのかもしれないけど。
確かに私は本来、こういう性格だった気がするよ。
「――そうですね…… L 様。その依頼受けさせてもらえますか?」
『こっちが最初に頼んでたんだから、そうしてくれると助かるわね。
セツリに行ってもらうのは、あたしが創った世界じゃない世界。
だからサービスとして、セツリが使いたいと思う魔法を使えるように
しといてあげるわね。あと衣装も』
「……うわあ、すごい……ありがとうございます」
L 様がパチンと指を鳴らす。
ふわりと風がまとわるように吹いたのを感じて自分を見下ろしてみると、
私が着ていた服はまったく違う服に変わってた。
軽くて頑丈そうな濃い水色の大きな肩当て……ショルダー・ガードから、
淡い水色のマントが足首の辺りまで伸びてる。
ぴったりした白いノースリーブの上に、ゆったりとした青いシャツ。
肘くらいまである柔らかな青の手袋。
首元にはショルダー・ガードを止めるための、淡い白の飾り。
腰にクロスするような白いの革のベルト。
そして、濃い青のズボンにシンプルな白いブーツ。
「……完璧、コスプレって感じ?」
まあ、これで変な格好だって言われることは――あれ……?
さっき L 様は “自分の世界じゃない” って言ってなかった?
っていうことは、必然的にリナたちのいる世界じゃないわけで。
私って “誰の世界” に行くわけ?
「…… L 様?」
『そうねえ、何て言ったらいいかしら? まあ、同僚じゃないんだけど
似たようなものの世界……と、いう感じなのかしらね?』
いやいやいや。
というか L 様の同僚ですら分からないんですけど、私は。
それに何でそんなに楽しそうなんですか……。
似たようなものの世界って、一体何なんですかー!!
『頑張って見つけてきてね~、セツリ~♪』
知ってるけど強引すぎます L 様っ!!
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