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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第3章 台風の目 まるでカメレオン





わけの分からない場所へ、突然つれてこられて。
わけの分からない場所に、あった城もどきの中に入って。
わけの分からない場所の、もの同士だったら案外モロくて。



ドロシーは淡々としていた。
怒りでもなく、呆れでもなく、淡々と。
それでもいつもとは違う感情であることには変わりなく。

1番目に会った人物はかなり印象的だった。
何せ人間か化け物か分からない人物であったから。
だが、何故か誰よりも、2番目に会った人物こそが印象に残った。

ゆるやかな黒髪と、曇りのない黒い瞳。
見たことのない格好はゼルガディスと似ていた。



顔はどちらかというと中性的かしら。



最初は、こっちを驚いたような目で見てきた。
話しているうちに、彼女は頭が良いことが分かった。
それに話し方や態度で、垣間見えてくる性格も悪くないことも。
むしろドロシーに珍しく好感を持たせるくらいに。

気がついた時には言葉を発していた。



「あんたも一緒に来る?」



彼女はどことなく嬉しそうにしながらも、苦笑して手を振る。
顔には出ていないけれど、ふと興味がわいてきた。



……探している依頼品って何なのかしら。



「私はセツリナカノ。次に会った時はぜひ名前で呼んでくれると
 嬉しいよ」
「ドロシー・マギー・ハウザーよ。呼び捨てでかまわないわ」



いつもなら、初対面の人物に絶対言わない言葉。
彼女を前にしていると出てくるのはどうしてだろうか。

それはまるで、瞬く間に色を変えるカメレオン。
すぐさま景色に溶け込んでいく保護色。
そこにあるのが当たり前の空気。



……興味、あるわ。





NEXT.

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