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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風10号 再会は何やらの始まり(2)





ウィンリィたちがオートメイルを作る作業に入ってから、
とたんに何もすることがなくなってしまった私は庭に出てみる。
そこにエドとアルを見つけて、近寄った。

「やあ」
「あ、セツリさん」
「エドもアルも普通に呼び捨てで構わないって」

私も2人の隣に腰を下ろしてみる。
すると、暇そうにねっ転がってたエドが起き上がる。
そして私の方を見上げてきた。

「それじゃ……お言葉に甘えてセツリって呼ばせてもらうけど……
 セツリって、俺たちの母さんと知り合いって本当か?」
「うん、もちろん」

私は青い空を見上げた。

「……ここに来た時の私はどうしようもなく、途方に暮れてたんだ……
 急に、大事な子を連れてかれちゃってね。どこに行ったらいいかも
 分からなくって……。そんな風に一人ぼっちだった時、トリシャさんと
 会ったんだ。優しい笑顔で“ここにいていい” って言ってくれて、
 恥ずかしいけど嬉しくて泣いたなあ。私がここにいたのは、少しの間
 だったけど……トリシャさんには本当に感謝してるよ」

真剣な顔で話を聞いてる2人に、私はふと笑う。
……エドたちは、本当に私がここにいた事を覚えてないんだね。
あの時くれたこのペンダントのことも、覚えてないし。
一緒に過ごしたことがある日も――全て。

分かってる。
でも、少しいじわるしてみようかな?

「思い出した。私ってエドとアルに会ったことがあるよ」
「ええ!?」
「それって……セツリが母さんと会った時に?」
「トリシャさんの後ろで私を見上げてた男の子が2人。今思えば、
 あれは絶対にエドとアルだね」

エドとアルは顔を見合わせて首を傾げる。
私のことを何とか、思い出そうとしてくれてるんだろうけど……。
でも真理に持っていかれた対価は、戻らない。
それを取り戻そうとするなら、また別の対価が必要だから。





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