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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風9号 懐かし(?)の故郷で(4)





そして次の日、私は起きると丘の上に足を運んだ。

焼け落ちた家の残骸と、庭にある焼け焦げた大きな木。
それだけが残ってるこの場所。
半年も住むことがなかった家を見下ろして、目を閉じる。

エドとアルはどんな思いで家を焼いたのか。
それはどうやっても、私には分からない。
何故なら、私は二人が辛い時に傍にいてやれなかった。
アレンたちは今も傷ついて、死にそうになってるかもしれない。

なのに……私は一体、何をしてるんだろう?
訳も分からないまま異世界に飛ばされては飛ばされて。
私は一体、何をしたらいいんだろう?

「っと」

目を開いた時、ひらりと何かが落ちてきて。
私はとっさにそれを掴んでしまった。
掴んだのは、白い鳥の羽。

「……白雪……」

はっと我に返って、私はぶんぶんと首を振った。
私が……。
仲野雪里がうじうじと悩んでるなんて、絶対似合わない!
それに――私は自分に誓ったんだ。

白雪を見つけるんだって。

白雪が……もしこの世界にいないなら。
……次の世界で。
またその次の世界で、必ず見つけてみせる!!

ぱん! と頬を両手で叩いて、私はばっちゃんの家へと戻る。
すると、何だかぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあとわめく、
というか……叫びあう声が聞こえてきた。



「だれがちっさいって!? このミニマムばば!!」

「言ったねドちび!!」

「豆つぶばば!!」

「マイクロちび!!」

「ミジンコばば!!」



…………。
何つー、不毛な言い争いをしてるんだろう……。
余計に両者の傷をえぐってるだけなんじゃないのかな……。
特にエド……。





NEXT.

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