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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風9号 懐かし(?)の故郷で(3)





「ここがあたしの家だよ」
「そうなんですか……お邪魔します」

墓前の掃除が終わったあとでばっちゃんに、良かったら家でゆっくり
お茶を飲まないかと誘われた私。
別に急いでるわけでもないし、もちろん断る理由だってないし、
どっちかっていうとやっぱり嬉しかった。
だから、私は即座に頷いた。

「あ、お帰りばっちゃ――って……お客さん……?」 

2階からスパナを手に持って、ぱたぱたと降りてきたのはぼさぼさした
金髪と寝不足だと分かる顔をした女の子。
私の姿に気づいて、きょとんと目を丸くする。
ばっちゃんが顔をしかめた。

「これ、ウィンリィ!」
「へ? …………うひゃああっ!!
「まったく……。悪いね、セツリ
「いえいえ」

我に返ったウィンリィは、慌てて作業代の上にスパナを放り出す。
慌しく2階の自分の部屋に駆け込んでって、しばらくしてから
ちゃんと着がえて1階に降りてきた。



「……ご、ごめんなさい……つい、昨日徹夜してて」
「大丈夫だよ。急にお邪魔したのは私だから」

恥ずかしそうに謝るウィンリィに、私は笑ってそう言う。
うん、こういう所も変わってないなー。
子供だった時も医学やオートメイルの本を読んでて、夜更かしして
次の日は眠そうにしてたもんね。

まあ、今はちゃんとオートメイルを作ってるんだから、夜更かしするのも
仕方ないんだろうけど。

「ピナコさんに聞いたけど、ウィンリィちゃんもオートメイルを
 作ってるんだって? すごいね。……あ、自己紹介してなかったね?
 私はセツリナカノです。軽くセツリでいいから」
「あたしなんてまだまだです! あたしのことは呼び捨てで構いません!
 セツリさんって、あたしより年上ですよね?」

ふと、ウィンリィにそう言われて私は内心首を傾げる。
確か D.グレの世界に飛ばされたのが16……。
1年くらい師匠の所で修行してたから、多分17になったでしょ?
その後に教団で仕事してた時期が、確か2年くらい。
それで、こっちに飛ばされたから……。

「まあそうだね。でも、敬語は堅苦しいから無しで」
「はい……あ、うんっ!」

そうか……私っていつのまにか19になってたのか。
……あまり身長とか変わってなくて悲しいなあ……。

これからの予定が特に決まってないことを知ると、
ばっちゃんは数日くらい泊まっていかないかと誘ってきた。
私が承諾すると、ウィンリィもばっちゃんも嬉しそうにしてくれた。
覚えてないのに……こんなに優しくしてくれるなんて。
本当に嬉しいかぎりだよね。

その夜は、ウィンリィのオートメイル話を聞きながら、
ばっちゃん特性の美味しい料理をたくさん食べた。





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