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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風7号 カッコ付けていいよね(4)


 


パキン!
ゴォオオオオッ!! 



ハリセンスでバルドを引っ叩いて素早く離れると、バルドが炎の爆発に
吹っ飛ばされた。
ふふ、やっぱりこのタイミングで当たってたね。

「手加減しておいた。まだ逆らうというなら次はケシ炭にするが?」
「ど畜生め……てめえ何者だ!!

うーん……っていうかバルドって列車の中で、一応エドとも
戦ったんだよねえ?
実際に一般人から見ても、明らかに “国家錬金術師” であると思える
あの子の力を間近で見ておいて、その言葉って……。
間抜けな質問だと思うのは私だけかな……?
こういう感覚、ズレてるのかなー。

「ロイ・マスタング。地位は大佐だ。そしてもうひとつ」

大佐は襟を指先で引きながら。
そして誇らしげに、その名を告げる。

「“焔の錬金術師” だ。覚えておきたまえ」

よーっし、決め台詞決まったー!!
私は気づかれないようにしながら、にんまりと笑みを浮かべた。



セツリさんっ!! 大丈夫ですか!?」 
「ああ、アル」

バルドが連行されると、アルが慌てて私の方へ駆け寄ってくる。
その様子に私は小さく笑って、アルの胴体を軽くぱんぱんと叩いた。
やっぱり……心配されるのは嬉しいねえ。 

「ふふ、心配してくれてありがとう。私は大丈夫だよ。それに私、
 言ってたでしょ? 私は君のお兄さんと似てるって」
「あはは……そうですね。確かに派手でしたよ……」
「アル、その人と知り合いなのか?」

後ろから、きょとんとしたような声がかかる。
アルは振り向いてから、私のことを紹介してくれた。

「うん。彼はセツリナカノさんって言って、列車の中で僕のことを
 手伝ってくれてたんだよ」
「アルのお兄さんだね? どうもこんにちは、セツリナカノです」
「……え?」

驚いたようにエドの目が丸くなる。
私はエドとアルに会うのは、これでも何時間ぶりなのに。

――だけど、もうこの子たちにとっては違う。
私の存在はもう “初めまして” でしかないんだ。
だったらまた別の関係を……新しい関係を作れればいいよね?
今は少しだけ、初めましてと告げるのは痛いけれど。

私は笑った。

「あ……えっと、初めまして……。エドワード・エルリックです」
「敬語なんて使わなくて構わないよ。もちろんアルもね」
「え、いいんですか?」
「もちろん」

頷いてみせると、首元で青と赤の石がついたペンダントがしゃらんと
音を立てて揺れた。
記憶は消したのに、これは対価じゃないらしい。
……真理め。




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