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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風7号 カッコつけていいよね(1)





走る緊張感? と、鈍く光る? ナイフ。
けれど、私は普通に普通に冷静だ。

「少しでも近づいたら、この男の首を刺す!」

問題です。
どうして私がハイジャック犯のリーダーでもある、バルドの人質に
なっているのでしょうか?




ブーッ!

時間切れです。
はい、正解は 『私が近くをたまたま通りかかったから』 。

駅についてから、いったんアルと別れて列車を降りた時、軍人に
連行されるこいつとばっちり目があった。
とたん、バルドはオートメイルの仕込みナイフで軍人を切りつけて
自由になり、後ろから私を羽交い絞めにして盾にされた。

うーん……ちょっと油断してたかもしれないな。

ナイフはしっかりと、頚動脈の上に添えられてる……。
さすが反抗グループのリーダーってとこ?
うん、ただの馬鹿じゃないらしい。
ちなみに数メートル前には、少し呆れた表情でも真剣な瞳をした
金髪みつあみ少年と、私が盾にされたことに驚いてるアルと、
こちらを見据えている軍服の男性と、銃を手にした女性。

いいねー、青い軍服カッコいい!

もちろん自分用にアレンジされた団服も、捨てがたいけど。
私は内心でそんなことを余裕で考えながら、ちらりと目の端で
バルドを見上げた。

「ふう……」

それにしても、この状況打破してもいいかな?

どうせこの状態からでもハリセンスを出す……っていうか、
練成することだって、私にはもちろん可能なわけだし。
真理も見てるし。
――それに、私が修行時代にクロス師匠に叩き込まれたのは、
何も AKUMA を壊す方法だけじゃない。

様々な困難な事態を渡りぬいてく処世術とかも、緊急の対処術とかも、
修行と同じように厳しく教えられた。

まあ……対人間用として、半場無理矢理にだけどね。
ちなみに実習相手はほとんど借金取り。

昔、叔父さんに教えられたことと結構似てるから、叔父さんと
クロス師匠は本質が似てるのかもしれない。



「ある者にはそれは不必要だけれど……ある者にはそれが必要で
 物事の要になると言う。混迷の事態を展開させ、なおかつ周りに
 旋風を起こす。それは使うべき者と使わぬべき者を見極めた、
 神秘を司るものなのですよ」
「うるせえぞ!」

いきなり話し始めた私を、バルドが大声で諌める。
けれど私は、そんな言葉に耳を貸す暇など作ってやらない。

私は、おとなしい人間じゃないよ。





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