忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風5号 アレがバレてた日(4)


 


『よう』

「いきなり連れ戻すな、真理のばーかあーほのっぺらぼー」
『………………………。』

ふと気がつくと、私はまた真理のいる真っ白い場所に立ってた。
目の前に何だか偉そうに踏ん反りがえって座ってる真理に向かって
私が棒読みでそう言うと、真理は沈黙する。
顔がないから表情は分からないけど。
ふん、少しは傷つけコノヤロー。

『……お前なあ……今の状況分かってんのか?』
「目の前にムカつく真理がいる」

それがまさに今の状況。
即答する私に、真理は疲れたように深々と溜息をついて首を振った。
その動作、何だかめちゃめちゃ人間臭い……。
真理のくせに。

『ったく、もう一度聞くぞ。何故お前がまた “ここ” に来たと
 思うんだ?』


何でって……あれ?
……そういえば、何で来ちゃったわけ?
だって、真理が勝手に私を連れ戻してきたからじゃないの?

でも今の真理の言い方だと、それさえも違ってるような気がするような
……まるで私が自分で来たような。



『……ようやく理解したようだな。はっきりと言うぞ。
 お前はあそこで死んだ。




おい待てワンモアプリーズ真理。

いや、思わず頭が白く空っぽになるぐらいに、もちろんはっきりと
聞こえてはいたんだけどさ……。
でもちょっと、待って待って待って。
――待ってよ。

「……私が死んだ……?」

夢では、私が消えたって言ってたはず……。
アレンたちは、私が行方不明だとそう言ってたはず。
死んだとは言ってない。

『そうだ。お前はいわゆる “流行り病” できっちり死んで、自分から
 ここに戻ってきた。まあ、何せお前は異世界体質だしな……病気の
 進行は進んでても、あまり症状に出なかったみたいだが』


死んだ……。
私が死んだって言われても……そんな実感は全然ない。
ああ、でも D.グレの最後で伯爵と会った時。
あれが死んだっていう感覚なのかな。

「っていうか、また心配かけちゃったじゃないか!!」
『ああ……それこそ心配すんな。お前があの場所にいたって記憶は
 俺が対価として貰っておいてやったからな』

「……嫌な対価だな」
『まあ、お前がここに戻ってきたのは、ある意味ミスってやつだからな。
 タイムリミットまであと少し余裕があるから、好きにやっとけよ』


だからさっきから、ちょっと待ってっつーの真理。
代価って何さ……タイムリミットって何。
人体練成とか、こっちに来るような等価交換してないし!!
つーかミスなら勝手に対価とんな。
大きく溜息をついた。





NEXT.

拍手[0回]

PR