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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風5号 アレがバレてた日(3)





結局、どこにそんな力があるのかは分からないけど、
ずりずりずりずりと引きずられながら、
私は母さんに連れられて、ちょっと離れた町の医者に行った。

結果。
ただの軽い風邪だった。

そんなたいしたことじゃなかったのに……母さんてば。
ああ……エドとアルが帰ってきたら騒ぐだろうなあ。
母さんには辛い時はもっと早く言いなさいって怒られちゃったけど、
私って風邪とか引いてもあまり熱がでない体質だから、自分でも良く
分からなかったのもある。
ちょっとだるいだけで、辛いとは思ってなかったし。

……風邪なんて、どれくらいぶりに引いたっけ?



「ただいま! セツリ姉ちゃん!!」
セツリ姉ちゃん、大丈夫なの?」
「お帰り。こら、あんまり近づくと感染るよ」

おとなしくベッドで本を読んでると、エドとアルが帰って来た。
帰ってきてすぐに母さんから私が風邪ひいたことを聞かされたのか、
2人が心配そうにベッドに駆け寄って来る。
苦笑しながら、抱きついてこないよう押し留めた。

それでも何かを待ってるような2人の視線に、私は笑ってしまう。
まったく……。

「……何か、喉かわいたかも」
「「すぐにお水持ってくるっ!!」」

2人はまるで競い合ううように、どたばた走って部屋を出ていく。
ああもう……そんなに慌ててたらコケるよ?
というかそんなに騒いだら、母さんに怒られるからねー。
エドも、アルも……まあ嬉しいけど。

「ん? お、っと……?」



バサリ!



ふいに両手がもつれて、持っていた本を床に落とした。
私の本じゃないからページが変な風に折れてないかと慌てて床を見ると、
運良く本は開いてなくて、落ちた反動で閉じてる。
はあ、何とか大丈夫だったみたいだ。

それにしても……何でいきなり手がもつれたんだろ?
一瞬だけ動かなくなったような感じがしたけど。

ベッドを降りて、ひょいっと本を拾う。



ぐらっ



「――え……?」





世界が、揺れた。





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