忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風4号 忘れないっての。(2)





「――ちゃん、セツイr姉ちゃん!!
「………………。」

ゆっくりと、目を開ける。
すごく哀しそうに眉を寄せたエドとアルがいた。
珍しい表情をした2人が、私の顔を覗き込んでる。
私は軽く2人の頭を撫でてやった。

「2人とも、どうしたの?」
「だって姉ちゃんが……うなされてたからっ……」
「すっごくすっごく、苦しそうだったんだよ?」

その言葉に私は少しだけ目を見開いて、苦りの強い苦笑を浮かべた。
もしかして、そのせいかな。

「……私は何か寝言を、言ってたみたいだね? 何て言ってたか、
 教えてくれるかな」

エドとアルは目線を彷徨わせる。
どう言っていいのか分からないような表情をしている。
しばらくした後で、2人は私にゆっくりと抱きついてきた。

「……言う。言うから……」
「姉ちゃん、どこにも行かないよね?」

そんな2人を、私はもちろん抱きしめた。


「 “もう会えない” 」
「 “ごめんね” 」
「 “ありがとう” 」
「…… “泣かないで” ……」

「――そうか。……そう、言ってたんだ……」

ぎゅっとしがみついてくる2つの暖かさ。
私は素直に甘えるように、優しく腕に力をこめた。

もう一度、皆に会いたいと思う。
けれど、もう会えないとも思う。

勝手に消えてごめんね。
私の存在を認めてくれてありがとう。
絶対忘れないから、泣かないで?

だけどお願いだから忘れないで……。
私の存在を忘れないで。
私は本当にそこにいたから。


「ほらほら……何でエドとアルが泣くかな?」
「「だって!!」」
「まったくお前たちはしょうがないな」
「ねっ、姉ちゃんだって泣いてるじゃんか!!」
「兄ちゃんの言う通りだよっ!」

うん、泣いてるよ。

本当にこの世界に来てからは、どうにも涙腺がすっごく弱く
なっちゃったみたいだなー。
異世界に来る前は、ほとんど泣いたことがなかったのに。
思ったより、さほど嫌ではないんだけどね?

“家族” と呼べる人がいるからかな。





NEXT.

拍手[0回]

PR