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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風4号 忘れないっての。(3)





それから少しして……。
私の両隣で、すやすやと寝入りこんでしまったエドとアル。
苦笑しながらシーツをかける。
外に目をやると、少し遠くの方にウィンリィを見つけた。

友達らしき数人の女の子と一緒になって、野良のような白い仔猫を
腕に抱いたり頭を撫でたりして遊んでた。
その様子に微笑ましくなる。
そういえばこの前、母さんとばっちゃんに言われたっけね。

セツリは、本当に白い猫が好きなんだねえ』
『白猫を見かけると、いつもすぐ近くに寄っていって優しく
 撫でてるものね』



……私はその時、そうだねって答えた。
確かに白い猫を見つけると、私はすぐに振り返る。
近くに行ってはご機嫌を取って、少し頭を撫でさせてもらう。

だけど。

私は身代わりを見つけようだなんて、そんなこと一切思ってない。
私にとっての白雪は、一緒にいた白雪でしかないから。
そして白い猫を見かけるとすごく嬉しくなって、決心がもっともっと
硬く固まってくる。

絶対に、白雪を見つけ出す。
たとえどんなに時間がかかってもいい。

“違っても同じ” あの子を探す。

――そう、私は自分自信に誓ったから。



「……誓ったから……」
セツリ? エド、アルー」
「――あ、母さん。エドとアルはここだよ」
「あらま。」

軽くノックがして、母さんがひょっこりと顔を覗かせる。
すぴすぴと寝てる二人に、母さんは苦笑しながら肩をすくませて
軽く溜息をついた。

「どこにもいないと思ったら……ここで寝てたのね」
「さっきまでは起きてたんだけど」

私が2人の頭を撫でて苦笑しながらそう言うと、母さんも苦笑するように
笑った。

「いいのよ。昨日も遅くまで起きて、あの人が置いていった本を熱心に
 読んでたみたいだし……少し寝かせておきましょ」
「うん。分かってるよ」
「あと少しで夕飯だから、それまで頼める?」
「もちろん」

二度も心配はかけたくないね。
あの夢が本当にあったことなのかは分からないけど、アレンたちと……
夢で見た皆と同じような心配だけは。





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