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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風3号 喧嘩と花火は江戸の華☆(4)





次の日。
庭先で上がり始める大声に呆れる。
また溜息が出て、収まる気配がないから外に出てみる。
考えてた通りエドとアルがお互いを睨み合ってた。

「なんでいつも兄ちゃんはそうなんだよ!」
「アルも言いたいことばっかりじゃん!」


傍観するウィンリィは、つまらなさそうにしてる。
2人は私が出てきたことにまったく気がつかないほど怒鳴りあいが
ヒートアップしてたけど、ウィンリィはすぐ私に気がついた。

「エドとアル、今度は何の喧嘩してるの?」
「……えーっと……」

この間は確かおもちゃの取り合い。
その前はどっちが先に母さんに錬金術を見てもらうか。
戸惑ったようなウィンリィが答えを返す前に、2人が同時に叫んだ。

「「ウィンリィは俺(僕)がお嫁さんにするんだ!」」


ウィンリィとの初恋か人を好きになるのに年齢関係ないね。
お姉ちゃんはどっちを応援した方がいいかな。

そこまで考えて、はっ! と我に返った。
いやいや、何だか思考が別方向にそれてた気がするな。
喧嘩が収拾つかなくてどうしようもなく長引いてくると、必ず最後に
ウィンリィが怒って、2人の間に割って入るのにと思ったら……。
何だか、いつもよりもピリピリと険悪な雰囲気が漂ってる。

「ウィンリィ!!」
「兄ちゃんと僕、どっち!?」


エドとアルがウィンリィを振り返り、怒鳴る。
その二人の勢いに、びくりと肩を揺らして言葉を無くすウィンリィ。
いつも堂々としてる彼女が、呆然としてしまった。

この展開はまずい!

私はすかさず彼女を背に庇って、偶然ポケットの中に入ってた紙切れを
掌の中で素早く練成する。



スパーンッ!!



この世界に来てから、久しく聞いてなかったこの音――。

何てものすごく懐かしくて良い音がするんだろう。
やっぱり私にはこれが一番!
……だよね?

「い、痛いっ……!」
「ね……姉ちゃん……それなに……?」
「ハリセンス」

練成したものだから、“本物” のハリセンスじゃないけどね。
でも見た目は真理に分捕られたハリセンスそのものだ。

とっても良い音がしたおかげで、かなり痛かったらしい。
手加減したのに、エドとアルは頭を抱えながら涙目になってる。
私はウィンリィと目線を合わせて、優しく訊いた。

「ね、ウィンリィが結婚したい人ってどんな人?」
「……うーんとねえ……セツリお姉ちゃんみたいに背が高くて、
 とっても強くて、あと絶対にオートメイルが似合うカッコいい人!
 あたしより背が低い男はいや!!

それはもう、ウィンリィはきっぱりと答えた。
ウィンリィよりも背が低い2人は、その場にくずれ落ちた。
……初恋はそんなものだよ、2人とも。
私はオートメイルしないけどね。





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