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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風3号 喧嘩と花火は江戸の華☆(3)





差し出されたエドとアルの小さな手。
その上には、それぞれペンダントが乗ってた。

エドの手の上には、青い石のついた鎖の長いペンダント。
アルの手の上には、赤い石のついた鎖の短いペンダント。

多少、所々の細工にいびつな部分があったりするから、これは
2人がお得意の錬金術で作ったらしいものだとすぐに分かる。
形としてはシンプルだけど、なかなか上出来だ。

「母さんにあげるやつ?」
「「うっ……」」

すると睨みあってた2人は俯いて黙り込む。
え? 何?
どこか気まずそうな、何か言いたそうな、そんな顔をしてる。
私は2人の変な態度のわけが分からなかった。
首を傾げて呆然としてると、ウィンリィが大きく溜息をついた。
それもやっぱりくだらなさそうにした顔で。

「それ、おばさんにあげるやつじゃないんだって」
「「ウィンリィ!」」
「あんたたちうっさい!」
「「っ!!」」


キレたウィンリィが、カッ! と怒鳴ると、その勢いに黙り込む2人。
……うーん……何かこの3人の未来が、想像できるような……。
女の子は得てして、強いものだからねえ……。



とは言っても、実は私はハガレンの漫画は自分では持ってない。
友達の家でちょっと読ませてもらっただけ。
だから、 D. グレとは違って、先のことはよく知らない。

知っているのは、この2人がある事件から軍と関係を持つこと――。



「あれ? 違うの……?」
「うん。あのね、そのペンダントはおばさんにじゃなくって、
 セツリお姉ちゃんにあげるために作ったんだって!」

え。

「……私に……?」

思わず自分に向かって指を指してみる。
ウィンリィは力強く頷き、エドとアルは俯いてしまった。
そしてウィンリィが言葉を続けた。

「ほら、この前セツリお姉ちゃんに、 “れんきんじゅつすごいね” って
 言われたから、今度はおばさんにあげるんじゃなくて、今日は
 セツリお姉ちゃんに作ってあげるんだって、今日の朝からずっと
 そう言って、2人して授業中に考えて作ってたのよ」
「そう、だったんだ……」
「でもね! エドとアルったら、セツリお姉ちゃんがどっちの
 プレゼントをもらってくれるかって、さっきからケンカしてるの!」
「どっちって……」

私はウィンリィの言葉に目を丸くした。
2人は俯くのを止めて、拗ねたような顔でそっぽを向いてる。
“くだらない” ってウィンリィが言ったこと。
……今の説明を聞いてよく分かった。

確かに、これはくだらない喧嘩だ。

「エド、アル」
「「……なに……?」」

それじゃあ、姉として弟たちの喧嘩を終わらせなきゃね?

「ありがと。すごく嬉しい!」

弟たちの手から2つのペンダントを両手で拾って、しゃらりと音を
立てながら、両方とも首につけてみる。
胸元で、青と赤の石がきらきらと揺れた。

「おやおや。セツリの黒髪に良く似合っているじゃないか」
「うん! セツリお姉ちゃん似合ってるわ!」

ばっちゃんが人数分のお茶をテーブルに静かに置きながら、
私の方を見てにっこりと笑った。
ウィンリィもくすくす笑いながら、頷いている。

私のために作ってくれたプレゼントなのに。
どちらかを選んだりなんて、私は絶対にしないよ。
私は絶対に、両方選ぶからね!

「エド、アル、似合う?」

しゃがんでエドとアルの目線が重なるように覗き込む。
するとぽかんとしてた2人が、勢いよく私に向かって抱きついてきた。 

「「もちろん!!」」



2人が先に戻った後で、家の外でこっそり花火を練成した。
花火に必要な火薬は、すでに私用で買ってあった。
それにここへ来る時に、強制で真理を見たから練成陣は必要ない。
本当はもう少しくらい錬金術のことを調べてから作ってみようかなって
思ってたんだけど……今日のお礼ってことでね。

その夜ウィンリィたちも呼んで、皆で花火をした。



アレンは私があげたペンダント、大事にしてくれてるかな?





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