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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風3号 喧嘩と花火は江戸の華☆(2)





「ばっちゃーん! 母さんの特製シチュー、持ってきたよー!」
「ああ、セツリ。すまないね」

私は腕に抱えたシチューの入ってる鍋を、危なげなく上に上げて
見せながらばっちゃんを呼ぶ。
ばっちゃんはいつもみたく、オートメイルを調整してた。
その手を止めて、こっちにわざわざ顔を上げて笑ってくれる。

いやー、いつ見てもオートメイルはすごいね!
まだまだ子供のウィンリィが夢中になるわけだよ。

「……さて、これで一段落だ。休憩がてらにお茶でも飲もうかねえ。
 さあこっちにおいで、セツリ
「うん!! ―――ん……?」

テーブルにつこうとして、私はふと動きを止める。
何だか嫌な予感が……。
こう……何かに巻き込まれそうな予感が……。
おそるおそるドアの方を振り返った。



ばたばたばた
ばたばたばたばた
ばたばたばたばたっ!!



来た。



バァンッ!!



扉をぶっ壊すいきおいで駆け込んできたのは、もちろんエドとアル。
その後を追いかけるようにして、ウィンリィが入ってきた。
2人を見た私は、思わず眉をよせて溜息をついた。
あー……もしかして、これはまたか?

「ぼくが先に決めてたんだっ!!」
「いーや、おれが先だっ!」


エドとアルが子犬のようにきゃんきゃん、いや、ぎゃんぎゃん騒ぐ。
その横で私のように溜息をつくのはウィンリィ。
兄弟喧嘩……まーた勃発させたのか、エドとアルは。
……まったく。

私が最初に見たのはおやつのこと、その後はどっちかのおもちゃの
取り合いとか、そんな小さな事柄ばっかりで喧嘩する2人。
私には兄弟いないから、見るの初めてだったんだよね。
最初は面白がって見てたりしたけど……。
こうも、毎度毎度だとねえ。

実際に私に妹とか弟とかがいたら、かなり溺愛して可愛がりまくると
思うんだけどなー。
良い例がアレンで、ただの一度も喧嘩したことないし。
何度か、師匠にも 『アレン馬鹿』 だって言われたっけね……。
でもああ見えて、師匠だって隠れ弟子馬鹿なんだって確信してる……
本人は断固否定するだろうけど、絶対そうだ。
あとは唯一の従妹かな……。

目の前でわめく2人に、私は少し遠い目をしてしまった。
何にせよ、姉としては止めないといけないよね……。

「ウィンリィ、今度は何が原因?」 
「くだらないこと!」

ウィンリィが呆れた声でそう言う。
すると、それを聞きつけたエドとアルが怒鳴った。

「「くだらなくなんかないやい!」」
「はいはいそこまでー。それで、何で2人は喧嘩してるの?」
「「これっ!!」」

またしても二人は異口同音で叫ぶと、ばっ! と、私に向かって、
2つの小さな手を同時に差し出してきた。





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