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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風2号 暖かな笑顔(2)





……眩しい。

ゆっくりと目を開けてみると、窓から差し込んでくるきらきらとした
光が目に飛び込んでくる。
体をずらして日陰に顔を入れると、細めていた目を戻す。

「……だるい、なあ……」

それでも体を起こして、窓の外を見てみる。
ここって2階か――あ……木の枝からブランコ吊るしてある。
ああいうのって、一度乗ってみたいと思ってたっけ。

少しずつ目が冴えてきて、ようやく自分の体を見下ろしてみた。
そういえばこれ、私が着てた団服じゃない。
ふいに、部屋の向こうからぱたぱたと軽い足音が聞こえてきた。

『うるさくしないで、静かに入るのよ』
『うん! 分かってる!』

そして控えめにカチャリ、と静かにドアが開いて金色が覗いた。
その下にあった大きな金色の目と、私の黒い目がぱちっとあった。
え、何?

これって運命の初対面なの?

少年は私が起きていたことにびっくりしたのか、手に持っていた
タオルをべしょりっ! と床に落としてしまった。

「…………!」
「…………?」

無言で口をぱくぱくさせる少年につられ、自然に私も無言になる。
……まあ、話しかけるタイミングを逃がしたって言っても
同じことなんだろうけどね……。

内心、そう苦笑する私。
するとようやく、少年が声を出し始める。

「ね、ねっ……」
「ね?」
「……ね、熱っ!! ……だ、大丈夫……?」

おそるおそる問いかられて、私は一瞬だけ、きょとんとする。
熱って何のこと――ああ! そういえば。
そう言われてみて、軽く額に手を当ててみる。
すると、すっかり熱はなくなってた。

「うん、大丈夫みたいだよ。えっと……」
「ちょ、ちょっと待ってて! おかあさん呼んでくるから!!
 おかあさーん!!」

最後は叫びながら部屋から走り去っていく少年。 

遠くで 『こら!』 とたしなめる声が聞こえてきて、その後すぐに
『どうしたの?』 と続いた。
かぶさるように『あのおねえちゃんが起きた!』 と慌てた声で少年が言うと、
もう1人の少年らしき声が 『ほんと!?』 と嬉しそうに言う。
それを 『はいはい、落ち着いて』 と少年たちの母親らしき声が止め、
『入っていいって言うまで、入ってきちゃ駄目よ?』 と何度か念を押した。

そして、静かに部屋に入ってきた。





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