『……ったく……あの――。余計なことまでべらべらべらべらと
喋りやがって……』
声がする。
『まあ―― ねえみたいだしな……ちっ。仕方ねえ……それも、
――すればいいか』
誰の声だろう。
何故か形容しがたい……。
そんな、声色をしてる。
『おい。いい加減に起きろ』
うっすらと目を開くと、白い世界だった。
何もなく、ただ白という空間が無限に広がった場所。
そこに私は静かに立っていた。
色のある私が、何故かとても不自然に映えている。
まるで、異質だと言わんばかりに。
『やっとお目覚めだな』
声のした方を見ると、のっぺらぼ……じゃなくて。
白の中に不自然に浮き上がる体の形。
私は内心で疑問に思う。
……どこかで……どこかでこいつを見たことが、あるような……。
「お前は――」
『おいおい。お前は俺を知ってるだろ?』
そいつは私に向かって、くっくっと、さも愉快そうに喉の奥で
笑ってみせる。
そして、まるでからかうように私に告げる。
『俺はお前たちが “世界” と呼ぶ存在だ。あるいは “宇宙” 、あるいは “神” 、
あるいは “真理” 、あるいは “全” 、あるいは “一” と呼ばれる存在。
――そして……』
まさか、そんな。
『俺は “お前” だ』
…… ―― の ―― ……
『さあ、行ってこい。せいぜい楽しんでこいよ』
「ちょ……! 私を D. グレの世界にも、ここにも呼んだのも、
全部お前仕業なのかっ!?」
『俺じゃないさ。ぐだぐだ言わずに早く行け。……そうそう、
お前の通行料は――』
扉が開く。
世界が暗転する。
失う意識の中。
私は “真理” の言葉を聞いていた。
NEXT.