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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風の目 あの人へ(3)





いつもみたいに槌に乗って、任務から戻ってきた。
けれどやっぱり、間違えたブレーキの加減。

そう何度も何度も、城壁に穴を開ける訳には行かない。
それに帰ってそうそう、じじいに怒られたくない。
何とか森の方に行き先を変更してみる。
とりあえず、これで城に被害はないだろうと安心する。

だけどその瞬間、自分の突っ込む方向に人影が見えた。
修行中のユウかと思ったけど、それも違ったようで。
やべえと焦りながら、そこをどくように叫んだ。

……結局、突っ込んだけど。

「普通に教団新入りの、エクソシストです」

第一印象は “何か綺麗な奴” だと思った。
何かユウとは違って、雰囲気的に 『柔』 って感じの印象?
風になびく黒髪も、驚いて見開く双つの黒い瞳も。

「私はセツリナカノで、この子が白雪」

それから見かけるたび、白猫のゴーレムと一緒にいる。
楽しそうに笑ってて、何かあれば俺たちをからかう。
どこか憎めない笑顔で、性格で、雰囲気で。
いつも周りを巻き込んでく。

「あ! ラビ神いたんだ」

第一印象が抜けた後は、 “空気みたいな奴” 。
気がつくと周りに溶け込んでて、違和感なく存在を示す。
白猫を肩に乗せて自信ありげに笑ってる。

誰にも屈せず、物怖じせず、ただあるがままそこにいる。
あいつはそういう奴なんだと不思議に納得した。
だからこそ、赦されてる気がして。

そういえば同じ任務に出かけたことがない。
今度そうしてくれるよう、コムイに頼んでみるのも悪くない。
きっと、あいつも笑って頷いてくれるだろう。



「ラビ、室長がカンダと一緒に司令室に来てくれとさ」
「ユウと? ってことは、任務なんさ? リーバー班長」
「今回は俺も良く知らんが……話があるらしいぞ」
「ふーん……分かったさー」



まだまだ 知らないと いうのに
それを 教えても くれず
笑顔で はぐらかした まま 。





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