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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第2章 台風の目 あの人へ(2)





そいつに初めて会ったのは、教団でだった。

イノセンス収穫無しの任務から帰ってくれば、
うるせえ門番のデケェ悲鳴が響いてきた。
そしてその後に続く、かなりイラついた怒鳴り声。

イラついてんのはこっちだ。

そいつはヘラヘラと笑う、ふざけた奴だった。
変な歌を歌いだした時には気が狂ったかと思った。
だが俺の攻撃を軽々と紙一重で避ける動きには、
まったくと言っていいほど無駄がなかった。

……ふざけた奴のイノセンスも、結局ふざけていた。
人間だと分かったそいつは、新入りのエクソシストになった。
睨んでも皮肉っても、ヘラヘラ笑うそいつに呆れ果てた。

「私は神田と同じく日本人の仲野雪里

エクソシストだが、室長助手……科学班の雑用みたいなことも、
モノズキなことに自分からやってたみてえだった。
だから俺の報告書を担当するのは、ほとんどそいつの仕事になってた。
2年の間それは変わらずに、俺も抵抗するのを諦めた。

「神田、任務お疲れ」

いつも一緒にいる白猫のゴーレムの白雪。
白雪を造ったのがそいつだと知った時には正直驚いた。
そいつらは本当に何があってもなくても、ずっと一緒にいた。
依存しているわけでもなく、ただ強い信頼がそこにあった。

モヤシを斬ろうとした時。
そいつは迷うことなく白雪を間に入らせた。

「白雪を絶対に切らない、と思ったからだよ」

何の根拠もないくせにそいつは笑ってそう言った。
それはいつもの、ヘラヘラした顔じゃなかった。
わけもなく俺はイラついた。

今は任務に出ていてそいつはいない。
いつもうるせえのがいないと、調子が狂ってまたイラつく。
カルシウムとれとか、いつもうるせえ奴だからな。



「ユーウー!」
「そう呼ぶんじゃねえって言ってんだろっ!」
「まあまあ。コムイが俺たちを呼んでるさ」
「……何だ、任務か?」
「いや? 何か話があるらしいさー」
「ちっ……」



ヘラヘラ 笑ってる奴の ことで
何で イラつかなきゃ ならないんだ
何で俺を イラつかせる 。 





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