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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

第1章 台風9号 ようやく再会だぁっ!!(1)





寝苦しい夜で、何故だか満月が大きく見えた。
溜息をつきながら、ぼんやりと寝っ転がるだけだったベットから
ゆっくりと体を起こす。
隣で丸くなっていた白雪が、そんな私を見上げてくる。

「寝てていいよ」
「ふにゃ……ぁう……」

白雪はあくびをして、ぷるぷると首を振ると私の腕の中へと
入り込んできた。
けれど、眠りはしないでその青い瞳に満月を映している。
苦笑して体を撫でてやると、ごろごろと喉を鳴らした。

ここで初めて泣き顔を見せたのは、白雪。

私がこの手で創造したのは間違いないけれど、一時でも白雪を
“ただのゴーレム” や “造り出した物” なんて思ったことはない。
たとえ本物の猫でなくても、人間でなくても、喋れなくても。
大事な大事な、私の白雪だから。

「白雪、覚えてる? 私が初めてここに来た日の夜のこと」

答えるようにぴんと耳が立った。


『……大丈夫……。もう、大丈夫だから、白雪……一緒に
 いるから……』



「……一緒にいるよ」
「にゃああん」

私のその言葉に満足したように、白雪は私に向かって優しく
甘えるように鳴いた。



『こいつアウトォオオオオオ!!』



しんとした静寂は破られて、門番の声がでかでかと教団に響いた。
あーっもう! うるさいったらないなあ!!

私は2年前のことを思い出して、うんざりした。
あの時は本当に言いがかりで酷かったよ……。
いきなり神田に切りかかれたりしたし。
あのあとの門番は私に不審そうな目を向けたり、怯える日もあれば、
上から目線だったりもして、通るたびに心底煩わしかった。
ここのところはそんなことなくなってたのに。

「はあ……またか、あのもんば――」
『こいつバグだ! 額のペンタクルに呪われてやがる!アウトだ
 アウト!!』


私の悪態を遮って、叫びつづける門番。
え? ちょっと待って、今のって……まさか……っ!!

「白雪!! “2人” のトコに行って!!」
「にゃあ!」

私と白雪は、ばっ! とベットから飛び起きる。
ひとまず私は科学班の所へと走る。
白雪は私と離れて、階段の方へ素早く飛んでいった。

まさかまさかまさか……!!





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