「ふにゃあん?」
「ん? ああ、あれはただの監視用のゴーレムらしいから、
あまり気にしなくていいよ、白雪」
辺りは暗い。
不気味な雰囲気に飛び交うカラス……ではなく、飛び交っている
黒いゴーレムを、白雪が気になるのかちらちらと目で追う。
そんな光景があるからこそ、目の前に雄々しくそびえ立っている城が、
より薄気味悪く見えている原因かもしれない。
時折吹いてくる冷たい風が、十字架の旗を揺らす。
雰囲気あるっていうより、まるっきりお化け屋敷じゃんね!!
ここは、エクソシストの本部である黒の教団。
よ……ようやくたどり着いた……。
イギリスが広いっていうか、ここに辿りつくまで長かった。
でも、借金取りがこなくてほんっとーに良かったよ!
我が弟弟子、アレンよ頑張ってくれ!!
私は失笑に似たような微妙な表情をしながらも、パタパタと近くに
寄って来たゴーレムに向かって話しかける。
「初めまして、私はエクソシストのセツリ・ナカノと申します。
師匠から教団への紹介状を預かってきているので、幹部である
コムイさんという方と、謁見をお願いしたいのですが……」
アレンのことがあるから、師匠の名前をあまり言いたくないんだよね。
というか……ちょこっとだけアレンが来る時の楽しみが減るってのも
あるんだけども。
しばらくしてから、ゴーレムからスピーカー越しの男の人の声が
聞こえてきた。
『後ろにいる門番の身体検査を受けて』
「はい」
返事をして、くるっと振り向く。
大きい2つの門の間にいる……ある? 門番の、でかい顔を
見上げてみた。
その瞬間。
ぐぉおっ!! と迫ってきてビカアアーッ!! と思いっきり目から
ビームみたいな光線を当てられた。
やばい……さっきの怖かった……。
一瞬ハリセンスではたこうと思っちゃったよ……。
って、あー、すごい眩しーなー、この光線。
私は光を浴びながら、ぼんやりと考える。
そういえば、アレンの時もこんなだったっけ。
ペンタクルのせいで AKUMA だと勘違いされたんだよね。
私には呪いとかないからな……。
となれば、どうせ人間なんだし早く終わらせて
『こいつアウトォオッ!!!』
「でたらめ言うな顔だけ門番が!!」
NEXT.