「……あの……」
少し沈んだようなアレン。
私は立ち上がると、ぽふぽふとアレンの頭を軽く撫でる。
すると、アレンは照れたように小さく笑った。
「もう……。いつまでたっても、兄さんはそうやって僕のことを
子供扱いしてくるんだから……」
「何言ってるの、アレン? 当たり前でしょうが。私にとっては
いつまでたっても可愛い可愛い弟なんだよ」
そう。
初めて私を受け入れてくれた、師匠とアレンだから。
笑ってそう言ってから、私は胸元からペンダントを取り出す。
その行為を眺めて不思議そうに首を傾げてるアレンの首に、
それをひょいっとかけてやった。
しばらくの間きょとんとしてたアレンは、
やっと私のした意味が分かったのか、急に慌て始めた。
「に、兄さん! これ、兄さんが大事にしてた……っ!!」
うーん……大事にしてたっていうか……ただ気に入ってたから、
いつもつけてただけなんだけど。
だってこれも、やっぱり叔父さんから貰ったものだし。
「お守りだよ。ちゃんと持っててね?」
「……うん。あの、兄さん」
「ん?」
「抱き締めてもいいですか」
……はい?
私の答えを待たず、ぎゅっと私に抱き付いてくるアレン。
ちなみにアレンとの身長差は、私の方がまだ頭一つ分高い。
胸元に抱き付きながら、アレンは言う。
「絶対に、追いつくから。兄さんは先に行ってて」
その言葉に我に返った私は、アレンにふっと笑みを返した。
「大丈夫だよ。アレンがちゃーんと立派なエクソシストになれるってことは、
この私、セツリさんがしっかり保証してあげるよ。……ただひとつ
気がかりなのは……」
「……何……?」
「師匠の所に、一人にさせることなんだけど……」
「……頑張るよ……」
「アレン、きちんと手のリハビリをこなして、トランプを極めさえすれば、
お前は素敵に無敵になれるよ」
「兄さんが、チェスとハリセンだったように……?」
「うん。」
頑張れアレン……頑張れ弟よ!!
負けるな弟弟子よ!!
師匠のツケ払いと借金取りの扱いとかにはすっごく辛いだろうけど!!
私は君の成長を信じてるし、確信してるから!!
強い子に、なりなさい。
NEXT.