「本部に行け。」
「じゃー師匠も一緒に行かなくちゃいけませんねー」
「嫌だ」
「ふざけないで下さいよ、師匠?」
はっきりきっぱり断る師匠に、私はにっこりと笑って言ってやった。
まあ実の所アレンに対して行ってた漫画の内容から、そう言うだろうとは
何となく思ってたんだけどねー。
というかその前に、私は本部がある場所知らないし。
イギリスってだけしか知らないからね。
一応旅費は、師匠と違って何とか余裕あるけどさ。
「本部の地図だ。明日の朝にでも出発しろ」
ばさりと私に押し付けてくるのは、四つ折りにされた紙と封筒。
封筒の裏には、ほとんど走り書きのような師匠のサイン。
じろりと、師匠を下から睨みつけてみる。
「紹介状を書いてやったから、コムイという幹部に渡せ」
そこで出てくるんかコムイ室長がっ!!
……師匠め、アレンの時には送るのに……紹介状。
私は深く深く溜息をついた。
なんだかんだで私がこの1年間、何回も何回もハリセンスで叩いても、
どうせ最後は師匠に逆らえないでいたけどね……。
「――分かりました」
結局、今回も逆うことは出来なかったか。
「さてと……荷物整理でもするかなー」
まあ、荷物をまとめるって言っても……。
ただ数着の着替えと、今までに趣味で買った数冊の本だとかをぽぽいっと
トランクに入れるだけなんだけどさ。
私はかりかりと頭をかいた。
とりあえず、必要なものをぽいぽいトランクに放り込んでいく。
使わない道具とか読まない本は、どうしようかな。
出来れば捨てたくないし、欲しければアレンにあげるか。
うん、そうした方がエコとしても断然いいね。
もちろんこの世界に来た時に着てた制服も、ずっと使っているポーチも
トランクにしまいこんでると、ふいにドアの方から声がかけられる。
「……<span class="2">セツリ</span>兄さん……」
「アレン」
ああ、そっか、アレンにこう呼ばれるのもお別れか。
初めてアレンに “兄さん” って呼ばれた時は、すごく嬉しかったな。
私って1人っ子だったから、そういうの憧れてたしねえ。
それでもまあ……。
未だに、師匠もアレンもまったくあることに気づいてない。
それは私の言動にも、原因があるとは思うけど。
最初で最後。
もしもあの夜言ってたりしたら、師匠は驚いてくれたかな?
私がその事を言って師匠が驚いて……そしたら……うん、
真剣に爆笑したかもしれないけど。
NEXT.