どごぉぉおおおおんっ!!!!!
「何事っ!?」
とある一室の部屋から爆発音が響いた。
それに驚いて、どたばたと少年が飛び込んでくる。
「あ、おはよー」
「おはよーじゃないでしょーっ!!」
白い煙の向こうから知った声がして、私はぱたぱたと周囲の煙を
はらいながら軽く答える。
だけどそれには、どうにも怒ったようなとても呆れたようないつもの
アレンの声がすっ飛んできた。
あれから早々と1年ほどが経った。
アレンは私とともにクロス師匠の元で、ずっとエクソシストになるための
修行をしている。
そりゃもう、過酷な修行を。
思わず遠い目をしてしまう私に、溜息をついたアレンがもう一度
問い掛けてきた。
「まったく……。それよりこの煙は何なの?」
「ん? ああ……これは――」
「にゃあ」
何かがふわりと床から飛び上がってきて、私の肩に乗って柔らかく
温かな頬をすり寄せる。
――生まれた。
窓を開けて煙を逃がしたアレンは、それに目を丸くした。
形状としては、真っ白なすらりとした猫だった。
その瞳は空や海よりも青く澄んでいて、背中には真っ白な両翼。
生えているしっぽは、普通に数えてみても4本ある。
胸には黒い十字架の模様。
「ずーっと前から、自分のゴーレムを造ってみてたんだよ。師匠の
ゴーレム製法には興味あったしね。苦労したかいあって、ぜーんぜん
ごっつくなくて可愛いでしょー? 名前は……そうだな……よし。
白雪 (しらゆき) に決まり!」
アレンが呆然としてる後ろから、ぬっと師匠が現れた。
「何がごついだと?」
いつもクロス師匠の帽子の上に居座ってる、どでかくてごっつい
ティムキャンピーのコトですよ。
私の心の声など当たり前に無視し、科学者の目をしてじっくりと
観察するように師匠は白雪を見つめた。
私の腕に降りてきた白雪は、怪しい師匠を威嚇することもなく行儀良く
背筋をピンと立てて静かに黙ってる。
さすがは私の白雪だ!
「……ほう……そうか。まさかお前が、1年でこれほどのゴーレムを
造りだせるまでになっていたとは……まあ、俺も思いもしなかったな……。
俺の書物を勝手に奪って読み漁ったり、イノセンスを無駄に発動させて
いたのも納得か」
確かに私のハリセンスは本当に役に立った!
戦闘で? いやいや違いますよ。
いつも女の人を無駄に泣かせては、ひょうひょうと宿に帰ってくる
師匠の頭をはたいたりだとか。
私とアレンにツケを払っとけと頼んで (命令して) くる時だとか。
かなり顔の恐い、借金取りの相手させられた時だとか。
時には、不条理にもほどがあるだろう請求をしてくる借金取りを
穏便に和やかに追い返したりだとか。
ねっ☆
「じゃあ、いいだろう」
「何がですかー」
さて、白雪にあと少し能力つけてあげようかな。
「本部に行け。」
NEXT.