怖くはなかった。
ただやっぱり、自分が異質なんだと思った。
伯爵はどうして、私にあんなことを言ったんだろうか。
分からない。
判らない。
解らない。
だけど “真理” は私に 『せいぜい楽しんでこいよ』 と言った。
何で。
どうして。
どうやって。
そして “真理” は 『俺じゃない』 と言って、さらに続けた。
『そうそう、お前の通行料は異質の力と練成物を
払ってもらうからな』
そう言った。
等価交換……それが世界の法則。
得るからにはそれ相応の対価を。
イノセンスの力と白雪。
“イノセンス発動” と念じても、ピアスは鼓動を響かせない。
“白雪” と呼んでも、暖かい体をすり寄せてこない。
持っていかれてしまった。
失ってしまった。
何で私は、また異世界に飛ばされたんだろうか?
答えはまだどこにもない。
またいつか飛ばされるかもしれない。
アレン、ごめんね。
コムリンの暴走を止められないばかりか、
帰ってくる君に “おかえり” も言えなかったね。
クロス師匠、ごめんなさい。
もうイノセンスの修業が出来ないです。
神田、ごめん。
もう報告書を書くことが出来なくなったよ。
リナリー、ごめんね。
次の任務は一緒に行こうっていう約束を破っちゃった。
ラビ、ごめん。
今度槌に乗せてくれるって言ってたのに。
コムイ室長、ごめんなさい。
もう、書類持ってったり整理したり出来ません。
リーバー班長や科学班の皆、ごめん。
もうコムイ室長の世話とか資料探しとか、手伝えない。
多分そっちにはもう帰れない。
それは予感。
今度は、鋼の錬金術師の世界だ――。
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