「…… D.グレ?」
……あれ?
私はふと思い当たったことに、眉をひそめた。
そそくさとそこらの家の影に隠れて、すっごく見たくないものの
私を狙ってる人体模型をよくよく見てみる。
人体模型は相変わらず、ばんばか大砲を打ちまくって辺りの町並みを
瓦礫の山に変えていた。
「あれって……も……もしかしてやっぱり……あ……
“AKUMA” ……? レベル1くらいの?」
“AKUMA” っていうのは “悪魔” じゃない。
D.グレの世界の出てくる、主人公たちの最大の敵・千年伯爵っていう奴が
作り出している兵器の名前のことだ。
って、私は一体誰に説明してんだろーか?
まあ……別にいいや……確認確認。
それがどうして私を狙うんだーーーっ!!
何でこんな所に、そんなのがいるわけ?
つーかその前にここは…… D.グレの世界?
俗に言う、『異世界トリップ』 ?
そうなのか?
そうなんだな?
そうなんだ。
「うおっしゃあーーーー!!」
私は歓喜に満ち震えて、天に叫んだ。
神様! 仏様! 誰か様!!
D.グレの世界に連れてきてくれてあーりがとーうっ!!
でも、そのせいで。
AKUMA がこっちに気がついて大砲を向けてきた。
照準はきっちりと私に定められていて。
あ……。
今度こそ本気でヤヴァイ。
そう思った瞬間。
右耳のピアスが急に熱くなった。
NEXT.