ラビと出会って、2ヵ月後くらいしてから。
私は任務から帰ってきた神田の報告書を書いてた。
神田って愛想がないから、科学班の中でも本当に神田のことを
知ってるような人ぐらいしか面と向かうことが出来ない。
私は最初から神田に物怖じしてなかったせいなのか、任務以外の時に
何となく暇を持て余して科学班の手伝いをしてた私が、いつからか
神田の報告書係みたいな感じになっていた。
神田は、そのことについては触れない。
興味がないだけなんだろうけどね。
『任務担当:神田ユウ』
何で神田の名前、カタカナなんだろう?
漢字だったら “夕” とか?
…… “祐” とか、それとも案外 “優” だったりして。
男の子らしく “雄” 、普通に “勇” とか、優しい感じで “悠” 、簡単に “由” とか、
微妙だけど “遊” とか、 洒落て “侑” 。
2文字で “由宇” とか、 読みづらいけど “柚胡” とか?
そういえば、この報告書を書く上で初めて神田の下の名前を
知ったんだっけねー。
最初の時、思わずユウっていうんだーって言って怒らせたっけ。
「おい……何か考えたか」
「何もー?」
『詳細報告:今回はブローカーが千年伯爵を通じ、事件に関連。
町にはすでに人間は存在せず、ゴーストタウンと化していた。
“アルファードの町” にいたアクマは全て破壊。』
タイミングなのか何なのか、私はちゃんとした任務に行った回数が少ない。
本格的なので言えば、まだ2~3回くらいしかないんだよねえ……。
何というかエクソシストより、リナリーと同じ室長助手っぽい気がする。
真実だから仕方ないかもしれないんだけどね。
ジョニーさんとかタップさんとかには、エクソシストじゃなく
このまま科学班の手伝いをしててもらいたいとか言ってるぐらいだし。
あとでリーバーさんに怒られてたけど。
『エクソシストともに、事前に街の調査をしていたファインダーの
負傷者、死者は回避。ブローカーが所持していたイノセンスは
無事に回収。』
今度の任務には、リナリーと任務に行ってみたいなあ。
でもラビと神田と一緒ってのもいいかもね!
二人の相手するのは面白そう。
……何だか、かなーり疲れそうな気もするけど……。
「てめえ……何考えてやがる!」
「さーねー?」
『イノセンスは教団へ持ち帰り、ヘブラスカが保管。
今後はイノセンスの適合者が現れるのを待つのみ。』
「よーっし、おーわりっ!」
「おい! セツリ! 聞いてんのか!!」
「あっと、名前書くの忘れてた」
「……ッ!!」
そんなに怒ってたら血管切れるよ、神田?
カルシウムが足りないんじゃない?
『報告書記入:仲野雪里』
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