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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

台風別号 出会いの中から?(1)


 


「ひらりひらりと 舞い遊ぶように 姿見せたアゲハ蝶 夏の夜の
 真ん中月の下 喜びとしてのイエロー 憂いを帯びたブルーに
 世の果てに似ている 漆黒の羽」

昨夜はあれだったけど、意外に早く目が覚めた。
だから好きな歌を口ずさみつつ、外の森を散歩してた。
肩には白雪がいて歌のリズムを取るようにゆらゆらしっぽを
揺らしてる。

そんなに広くはないけど、少し油断すると迷いそうな森。
でも、白雪が道案内をしてくれるから心配はない。

あなたに会えた それだけで良かった 世界に光が満ちた
 夢で会えるだけで良かった――
 ん、どうしたの、白雪?」

体を震わせて耳をそばだてる白雪に、私は歌を止める。
身構えるようにしているけど警戒はしてない。
白雪の様子に、すっと瞳を閉じて気配を探ってみた。
別に変な気配は―――あれ?
何か声が聞こえたような気がして、目を開けて耳を澄ます。

「――さ! あんた、早くそこどくさーッ!!!
「……へ?」

声の方を見ると、黒い点がぐんぐん大きさを増してこっちに……。
って―――こっちに突っ込んでくるッ!?

「「うわあぁぁあああああああ!!!!!!」」
「ふにゃぁあ!!」


森に重なった叫び声と、ひとつの鳴き声。
そしてひとつの砂埃の柱が立った。

砂埃にげほげほと咳き込みながら、私は草木に突っ込んできた
何かの方を見てみる。
すると、その物体はもごもごと動いてがばっ! と立ち上がった。

「あーあ、またやっちまったさー。ま、城壁に穴開けなかっただけでも
 進歩した……ん? ……そういえばあんた誰さ……?」
「……普通に教団新入りの、エクソシストです」

赤髪に右目に眼帯をした人物は、私に気がつくと首を傾げる。
あー、いつだったかその眼帯を取ってみたいとかね。
思ってたよ……。

「へえ、そうなんか。名前は?」
「私はセツリナカノで、この子が白雪。よろしく。えっと……
 君は……?」
「俺はラビ。同じくエクソシストさ! これからよろしくな」

にっこりと笑うラビに、私もにっこりと笑顔を返す。
出会いはアゲハ蝶のようではないけど、どこかアゲハ蝶に似ている彼に。





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ポ.ルノ.グラ.フィ.ティ 「アゲハ蝶」

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