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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

傍観の円舞曲-ワルツ- 第13曲






ぷわ、ぷわ



風にのって飛んできたそれを、雪里は追いかける。
それは子供心をとてもくすぐるもので、雪里も例外ではない。
飛んでくる方向へ走っていく。
すると、ひと気のない公園に辿りつく。

長身の男が一人、奥のベンチに座っている。
男の片手に握られるのは、硬質で力強い存在感。

走りよってくる雪里に男は気づく。
ゆっくり片手を挙げて、男は握るそれを雪里に突きつける。
それは、漆黒の拳銃。

雪里は目を見開き――
男はためらいもなくトリガーを引いた。



ぷわわわわわわわわっ!



銃口から一気に放たれる、虹色の泡。
まあるく濡れた泡玉は、雪里の顔の横をすれ違う。
ぱっと顔を輝かせる雪里に男は目を細める。
風にのったシャボン玉は空を舞う。

男は少し考えるようにする。
そしてもう片方の手をコートのポケットに入れ、出す。
ぽん、と雪里の手に置いたのは小さなピンクの容器とストロー。
きょとんとした雪里。
けれど次の瞬間、満面の笑みを浮かべた。





「あっ、見つけましたー」
「……お前……遅いぞ。仕事は終わった」
「ええ!? あ、ホントに何もないですねえ」
「すみません。お疲れ様でした」
「おう。悪いな、コイツの世話させて」
「大丈夫ですよ」
「お世話? 何のお話ですか?」

「……何でもありません」
「気にすんな」

「?」
「帰るぞ、ナモナキ、キマグレ。シルべにどやされる」
「まま待って下さいー! サトリさーん!」





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